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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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終わった。兄の授業の緊張感がとけ、瑞は机に突っ伏した。この体の重苦しさは、じめっとした気候のせいだろうか。梅雨は嫌いだ。なぜなら湿気で髪の毛が爆発するから。

「俺…ちょっと須丸先生に人生相談してくるワ…」

かわいそうな松前が真剣な顔つきで瑞に宣言する。周囲の友人達が口々に慰めの言葉をかけていた。

「転校生めっちゃかわいいな」

一人の言葉に、その場にいた全員が後ろの席に視線をやった。郁の隣の席の転校生は、数人の女子に囲まれていたが、何事か断るように片手を上げると、立ち上がって教室を出て行ってしまった。足早に。

「一匹狼?」
「でもかわいい」
「俺らより背~高くない?」

瑞は、郁が心配そうに転校生の背中に視線をやっているのが気になった。
瑞もこの学校に転校してきたクチなので、転校生の気持ちというのはわからないでもない。ただ、初日からああして親しんでくれるクラスメイトらを拒絶しようとは思わなかったが。

「瑞はどう、ああいうタイプ」
「え?スカート短すぎ」

転校生の挙動が瑞には意外だった。いかにもクラスの中心でたくさんの友人に囲まれていそうなタイプなのに。見かけだけで人を判断するのはよくないか。

「じゃあおまえどんなのがタイプなの」
「は?えっ俺?」

無意識に友人らと談笑する郁を見ていた瑞は、慌てて男子に向き直る。

「なんで挙動不審なん?」
「…別に。でも、強いて言えば」

郁のことを考える。

「…スカート、短くないヒト…」

なんだそりゃあ、と一同が笑う。瑞はあやしまれないように、視線だけで窓辺にもたれかかる郁を見る。

(あいつ…最近スカート短くないか…?暑いから?)