『まぼろし』をみた
フランス映画である。
監督はフランソワ・オゾンと言う人。(見なけりゃオオゾンという意味かもしれない)
マリーとジャンは連れ添って二五年になる幸せな夫婦だった。
今年の夏も、いつものように、フランス南西部のランドという海辺にヴァカンスに来た。(フランス人はなにかというと、すぐヴァカンスとしゃれこむ。夏の暑い時に、パリなどにいる人はいないらしい。私の夏は、今年もヴァカンスどころかたったの三日だった。ヴァカンスんな!)
二日目のことだった。
妻のマリーが浜辺で昼寝している時、夫のジャンは海に入ってゆくが、そのまま消えてしまう。
事故か、失踪か、それとも自殺?
夫はその前からなんとなく元気がない感じがあった。
そういう伏線があるから、誰だって事故とは思わない。失踪か自殺と思うだろう。
ここから妻の苦悩が始まる。
マリーの心の中では、ジャンは死んでいない。
他の男に抱かれても、それがいつかジャンの姿に変わったりする。
マリー役のシャーロット・ランプリングの陰翳豊かな演技が見ものだった。