【前編】OVER HEAR -オーバ―ヒア-
父「もう8時。 それより、さっき立花アイさんのお母さんから電話があったぞ。」
ユウ「え…?」
父「まだ帰ってきてないみたいでな。 いつも遅くても7時には帰ってくるから、何か知らないかって」
ユウ「今日は・・・別々で帰ってきたから・・・」
父「うーん、そうか。連絡きたら、ユウから電話してもらえるか?」
ユウ「うん、わかった」
ユウ「あ、もしもし?お疲れー。 ごめん、アイどこに行ったか知らない?うん、なんかまだ帰ってきてないみたいで。 うん。 うん。 」 →徐々にフェードアウト
ユウ「一人くらいは引っかかると思ったのに・・・。」
ユウ「うーーーん・・・・ごめんお父さん!ちょっと出かけてくる!」
※玄関の音
<外>
※走ってる音
ユウ「ラヒ!オーバーヒア!」
ユウ「集音!アイの声!」
ラヒ「・・・・音声の発信源がありません」
ユウ「そりゃそうか。 とにかく手当たり次第に!」
走ってる音 フェードアウト
ユウ「ハァ、ハァ・・・自転車使えばよかった・・・。 ラヒ、オーバーヒア・・・。 集音、アイの声」
ラヒ「(反応音)」
ユウ「え、近くにいるの?・・・ラヒ!オーバーヒア! サーチ、アイの声!」
ラヒ「(反応音) 北東40°。距離195m、マップに表示します。」
ユウ「・・・線路あんじゃん。まさか」
※走る音
ユウ「ちょっとマジでやめてよそんな流れ・・・ラヒ!オーバーヒア!集音!アイの声!」
アイ「・・く・・けて」
ユウ「全然聞こえないし・・・あーもう!」
ユウ「ラヒ!オーバーヒア!集音!アイの声!」
アイ「・・・早く、助けて」
ユウ「なにわけわかんないこと言ってんのよ ラヒ!オーバーヒア!サーチ!アイの声!」
ラヒ「北339°。距離3m、 マップに表示します。」
ユウ「3メートル?・・・どこにもいないし。・・・なにこれ」
※I Cレコーダー拾い上げる、アイの「早く助けて」がループして流れている
ユウ「ボイスレコーダー…? 誰がこんな。 ラヒ、オーバーヒア。集音、アイの声」
アイ「早く私を見つけて」
ユウ「うっ(るさ) ラヒ!アイの声のボリューム上げて!」
アイ「ラヒ、オーバーヒア」
作品名:【前編】OVER HEAR -オーバ―ヒア- 作家名:平塚 毅