【前編】OVER HEAR -オーバ―ヒア-
OVER HEAR -オーバ―ヒア-
第二幕【前編】
白井ユウ :高校2年生の女の子
立花アイ :高校2年生の女の子。
ラヒ (Rahe) :謎の女性が作成した補聴器。Siriやアレクサのような機能も備わっている。
ユウの父 :娘のことは大事だけど上手く距離感を掴むのが苦手。
佐藤 :ユウ・アイと同じクラスの男の子。
<学校の廊下(教室前)>
アイ「ユウ!」
ユウ「あ、おはよ」
アイ「耳、大丈夫・・・?」
ユウ「あ、うん、なんとか」
アイ「よかったぁ・・・。 それ(補聴器に目線をやる)、いいね」
ユウ「補聴器が?」
アイ「うん!」
ユウ「正直、ちょっと恥ずかしいんだよね・・・。」
アイ「どーして?」
ユウ「なんか、目立つっていうか・・・」
アイ「全然変じゃないよ」
ユウ「なら良いんだけど・・・。あっ、」
アイ「ん?」
ユウ「(小声で)ラヒ、オーバーヒア。 登録」
アイ「大丈夫?」
ユウ「う、うん、ヘーキヘーキ。 そーいえば、翻訳やれた?」
アイ「なんとかね〜。 私わかったよ、集中力を上げるには、窮地に立たされる必要があるんだってことを!」
ユウ「じゃあもう電話しないほうが」
アイ「それは無理!」
ユウ「うそうそ」
アイ「イジリ癖も治してもらえばよかったのに・・・」
ユウ「ん?」
アイ「なんでも無いでーす」
ユウ「(笑) ごめん、ちょっとトイレ」
アイ「うん」
ユウ「・・・登録終了」
ラヒ「音声データの名前を登録してください」
ユウ「アイの声」
ラヒ「登録完了しました」
ユウ「この距離なら、余裕で拾えるのかな」
ユウ「ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
ラヒ「音声の発信源がありません」
ユウ「発信源?・・・遠すぎたのかな。 もっかい。
ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「あーうん、今日は行くよ。 先週サボっちゃったし。 ・・・部長怒ってない?
まあそうなんだけどさ、ここまで休んだことなかったから、ちょっと行きづらいなって。」
ユウ「あぁ、喋ってないと感知してくれないのか。」
アイ「あ、先生来た」
ユウ「やばっ 終了!」
<教室>
ユウ「(ふぅ・・・なんか凄い久しぶりに授業受けた気分・・・疲れたぁ)」
アイ「ユウ、今日もいつもの公園?」
ユウ「うん、部活終わるまでそこで待ってるね」
アイ「今日はちょっと遅くなるかも」
ユウ「全然いいよ、私も読みたい本あるし。 終わったら連絡ちょーだい」
アイ「オッケー。 じゃ、行ってきまーす」
ユウ「がんばって〜」
<公園(森の中みたいな自然あふれるとこ)>
ユウ「なんか・・・久しぶりな感じ・・・」
ユウ「っしょと」
ユウ「(金木犀・・・。(鼻から息を吸って)は〜(吐息な感じで)。 最高・・・)」
↑五感を実感できている瞬間。ちょっと長めに時間をとる。ASMR的な。
ユウ「あそうだ。 ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「立ちましょラッパでたちつてと トテトテたったと飛び立った
ナメクジノロノロなにぬねの 納戸にぬめってなにねばる」
ユウ「(やってるやってる。 うーん、) ラヒ、他に機能はないの?」
ラヒ「音声の発信源の、方角と距離を示すことができます」
ユウ「・・・そんなことできるの!? あっ・・・。(よかったー、誰もいなくて)」
ユウ「どうやってやるの?」
ラヒ「『サーチ、登録した名前』と発言することで、方向と距離を示せます。また、マップアプリを開いた状態で行えば、座標を表示させることも可能です。」
ユウ「そこまでできるのは・・・逆に怖いわ。」
ユウ「・・・・・・・ラヒ、オーバーヒア。 サーチ、アイの声」
ラヒ「西284°、距離47m。 マップに表示します。」
ユウ「で、出てきた・・・。 これほんとに私が使ってていいのかな・・・。」
佐藤「あ、いたいた。 ごめん白井さん、今いい?」
ユウ「よくここにいるってわかったね」
佐藤「立花さんに聞いてきて。
ほら、休んでた間に文化祭のこととか色々決まったから、一応伝えとこうかなと思って」
ユウ「あそっか、忘れてた」
佐藤「高二の文化祭なんだから忘れないでよ(笑)」
ユウ「ごめんね」
佐藤「・・・まあ、みんながみんな盛り上がらなくてもいいよね〜」
ユウ「佐藤くんは積極的に参加してる方じゃない?」
佐藤「んなことないよ、岡田たちにスケジュール管理とか任されて、なんとなくやってるだけだから。
まあある意味、引っ張ってくれてる陽キャのみんなに感謝かな」
ユウ「佐藤くんは皆んなと居るのが好きだと思ってた。」
佐藤「いやいや、全然一人で居たい方だよ俺。音楽の趣味も周りの奴らと合わないのに、好きでもない曲を無理やり聴いて『いいね』とか言っちゃうし」
ユウ「佐藤くんはどんなのが好きなの?」
佐藤「lo-fi Hip-Hop…とか」
ユウ「あーそれラジオで聞いたことある」
佐藤「えマジで?知ってんの?」
ユウ「よくわかんなかったけど、なんか、夜に聞くと更に浸れるっていうか、オシャレだなって」
佐藤「そうなんだよ!もうまさにそれ!lofi Hip-Hopを24時間流してる番組がYouTubeにあるんだけどさ、どの曲も自然と一人の空間に馴染んでくれるんだよね! 特に一人で夜部屋にこもってる時が最高でさ! いやーローファイ話せる人がクラスにいることがすっごい嬉しい!」
ユウ「(私、今ふつうに会話してる・・・ちゃんと聞き取れてる・・・)
佐藤「え、あれって普通の読み聞かせじゃないの?」
ユウ「私は違うと思うなー。だってあれ、猟師のいる森にまた入って行ったってことじゃないの?」
佐藤「え、どゆこと?」
ユウ「雪に包まれた銀色の木の実が川の中にあったって言ってるけど、川の中なら雪取れてるし」
佐藤「?…なるほど」
※遠くからチャイムの音
ユウ「あ、そろそろ行かなきゃ」
佐藤「なんか用事?」
ユウ「アイの部活が終わったと思うから」
佐藤「そっか、じゃあまた」
ユウ「うん、ありがとね」
<校門前>
ユウ「と言ったものの、本当に終わってるかどうか・・・聞けばいいのか」
ユウ「ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「別に変じゃないでしょ」
ユウ「?」
アイ「耳の聞こえが悪いんだから仕方ないじゃん」
アイ「恥ずかしいって…」
アイ「そんなことしたら逆に聞こえなくなるでしょ」
ユウ「それ、私のこと・・・?」
アイ「あ、ごめんお待たせ」
ユウ「今日はちょっと…一人で帰る…」
アイ「え…なn」
ユウ「じゃあね」
※鍵開けてトボトボ家に入ってく音→ベッドへダイブ音
ユウ「はぁぁぁ・・・」
ユウ「なんで聞いちゃったんだろ・・・聞こえすぎるのも・・・はぁ」
→寝入ってしまう
父「入るぞー」
ユウ「・・・あれ、おかえり」
父「ただいま。」
ユウ「いま何時?」
第二幕【前編】
白井ユウ :高校2年生の女の子
立花アイ :高校2年生の女の子。
ラヒ (Rahe) :謎の女性が作成した補聴器。Siriやアレクサのような機能も備わっている。
ユウの父 :娘のことは大事だけど上手く距離感を掴むのが苦手。
佐藤 :ユウ・アイと同じクラスの男の子。
<学校の廊下(教室前)>
アイ「ユウ!」
ユウ「あ、おはよ」
アイ「耳、大丈夫・・・?」
ユウ「あ、うん、なんとか」
アイ「よかったぁ・・・。 それ(補聴器に目線をやる)、いいね」
ユウ「補聴器が?」
アイ「うん!」
ユウ「正直、ちょっと恥ずかしいんだよね・・・。」
アイ「どーして?」
ユウ「なんか、目立つっていうか・・・」
アイ「全然変じゃないよ」
ユウ「なら良いんだけど・・・。あっ、」
アイ「ん?」
ユウ「(小声で)ラヒ、オーバーヒア。 登録」
アイ「大丈夫?」
ユウ「う、うん、ヘーキヘーキ。 そーいえば、翻訳やれた?」
アイ「なんとかね〜。 私わかったよ、集中力を上げるには、窮地に立たされる必要があるんだってことを!」
ユウ「じゃあもう電話しないほうが」
アイ「それは無理!」
ユウ「うそうそ」
アイ「イジリ癖も治してもらえばよかったのに・・・」
ユウ「ん?」
アイ「なんでも無いでーす」
ユウ「(笑) ごめん、ちょっとトイレ」
アイ「うん」
ユウ「・・・登録終了」
ラヒ「音声データの名前を登録してください」
ユウ「アイの声」
ラヒ「登録完了しました」
ユウ「この距離なら、余裕で拾えるのかな」
ユウ「ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
ラヒ「音声の発信源がありません」
ユウ「発信源?・・・遠すぎたのかな。 もっかい。
ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「あーうん、今日は行くよ。 先週サボっちゃったし。 ・・・部長怒ってない?
まあそうなんだけどさ、ここまで休んだことなかったから、ちょっと行きづらいなって。」
ユウ「あぁ、喋ってないと感知してくれないのか。」
アイ「あ、先生来た」
ユウ「やばっ 終了!」
<教室>
ユウ「(ふぅ・・・なんか凄い久しぶりに授業受けた気分・・・疲れたぁ)」
アイ「ユウ、今日もいつもの公園?」
ユウ「うん、部活終わるまでそこで待ってるね」
アイ「今日はちょっと遅くなるかも」
ユウ「全然いいよ、私も読みたい本あるし。 終わったら連絡ちょーだい」
アイ「オッケー。 じゃ、行ってきまーす」
ユウ「がんばって〜」
<公園(森の中みたいな自然あふれるとこ)>
ユウ「なんか・・・久しぶりな感じ・・・」
ユウ「っしょと」
ユウ「(金木犀・・・。(鼻から息を吸って)は〜(吐息な感じで)。 最高・・・)」
↑五感を実感できている瞬間。ちょっと長めに時間をとる。ASMR的な。
ユウ「あそうだ。 ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「立ちましょラッパでたちつてと トテトテたったと飛び立った
ナメクジノロノロなにぬねの 納戸にぬめってなにねばる」
ユウ「(やってるやってる。 うーん、) ラヒ、他に機能はないの?」
ラヒ「音声の発信源の、方角と距離を示すことができます」
ユウ「・・・そんなことできるの!? あっ・・・。(よかったー、誰もいなくて)」
ユウ「どうやってやるの?」
ラヒ「『サーチ、登録した名前』と発言することで、方向と距離を示せます。また、マップアプリを開いた状態で行えば、座標を表示させることも可能です。」
ユウ「そこまでできるのは・・・逆に怖いわ。」
ユウ「・・・・・・・ラヒ、オーバーヒア。 サーチ、アイの声」
ラヒ「西284°、距離47m。 マップに表示します。」
ユウ「で、出てきた・・・。 これほんとに私が使ってていいのかな・・・。」
佐藤「あ、いたいた。 ごめん白井さん、今いい?」
ユウ「よくここにいるってわかったね」
佐藤「立花さんに聞いてきて。
ほら、休んでた間に文化祭のこととか色々決まったから、一応伝えとこうかなと思って」
ユウ「あそっか、忘れてた」
佐藤「高二の文化祭なんだから忘れないでよ(笑)」
ユウ「ごめんね」
佐藤「・・・まあ、みんながみんな盛り上がらなくてもいいよね〜」
ユウ「佐藤くんは積極的に参加してる方じゃない?」
佐藤「んなことないよ、岡田たちにスケジュール管理とか任されて、なんとなくやってるだけだから。
まあある意味、引っ張ってくれてる陽キャのみんなに感謝かな」
ユウ「佐藤くんは皆んなと居るのが好きだと思ってた。」
佐藤「いやいや、全然一人で居たい方だよ俺。音楽の趣味も周りの奴らと合わないのに、好きでもない曲を無理やり聴いて『いいね』とか言っちゃうし」
ユウ「佐藤くんはどんなのが好きなの?」
佐藤「lo-fi Hip-Hop…とか」
ユウ「あーそれラジオで聞いたことある」
佐藤「えマジで?知ってんの?」
ユウ「よくわかんなかったけど、なんか、夜に聞くと更に浸れるっていうか、オシャレだなって」
佐藤「そうなんだよ!もうまさにそれ!lofi Hip-Hopを24時間流してる番組がYouTubeにあるんだけどさ、どの曲も自然と一人の空間に馴染んでくれるんだよね! 特に一人で夜部屋にこもってる時が最高でさ! いやーローファイ話せる人がクラスにいることがすっごい嬉しい!」
ユウ「(私、今ふつうに会話してる・・・ちゃんと聞き取れてる・・・)
佐藤「え、あれって普通の読み聞かせじゃないの?」
ユウ「私は違うと思うなー。だってあれ、猟師のいる森にまた入って行ったってことじゃないの?」
佐藤「え、どゆこと?」
ユウ「雪に包まれた銀色の木の実が川の中にあったって言ってるけど、川の中なら雪取れてるし」
佐藤「?…なるほど」
※遠くからチャイムの音
ユウ「あ、そろそろ行かなきゃ」
佐藤「なんか用事?」
ユウ「アイの部活が終わったと思うから」
佐藤「そっか、じゃあまた」
ユウ「うん、ありがとね」
<校門前>
ユウ「と言ったものの、本当に終わってるかどうか・・・聞けばいいのか」
ユウ「ラヒ、オーバーヒア。 集音、アイの声」
アイ「別に変じゃないでしょ」
ユウ「?」
アイ「耳の聞こえが悪いんだから仕方ないじゃん」
アイ「恥ずかしいって…」
アイ「そんなことしたら逆に聞こえなくなるでしょ」
ユウ「それ、私のこと・・・?」
アイ「あ、ごめんお待たせ」
ユウ「今日はちょっと…一人で帰る…」
アイ「え…なn」
ユウ「じゃあね」
※鍵開けてトボトボ家に入ってく音→ベッドへダイブ音
ユウ「はぁぁぁ・・・」
ユウ「なんで聞いちゃったんだろ・・・聞こえすぎるのも・・・はぁ」
→寝入ってしまう
父「入るぞー」
ユウ「・・・あれ、おかえり」
父「ただいま。」
ユウ「いま何時?」
作品名:【前編】OVER HEAR -オーバ―ヒア- 作家名:平塚 毅