ひとり言 せずにはいられない
示談成立
僕は社労士が予約してくれていた弁護士に、損害賠償の額の決め方について相談しに行きました。これは無料の時間分だけです。
その先生の見解は、「これじゃ裁判にもならないでしょう。こちらは事故後からの履歴をしっかり取られていますし、各対応者の証言にも信憑性が見られます」
「でも被災者はお金を払わないなら、訴訟にすると言って来てるんです」
「それなら本当に弁護士を付けるでしょうし、こちらとしてもその方がいいですよ。ちゃんとした交渉をして来ると思います」とのことだった。
その後も、被災者は我々に対して急に態度を軟化させたり、迷惑をかけたくないと言っていたにも関わらず、新たに所属企業にも損害賠償を請求したり、支離滅裂。
結局僕は、国際商取引でお世話になってる台湾人の弁理士(知的財産権の管理をしてもらってる方)に相談したら、所属している事務所に弁護士もいらっしゃるので、相談くらいなら無料で応じていただけることになって、ラッキー。日頃からの付き合いって大事だ。そして、以降はその先生の指示通りに動くことにしました。
結果、6月13日に被災者の派遣元担当者が立ち会って、慰謝料19万円だけで、示談が成立しました。
この19万円という金額でも、社内では不満を言う社員も多いです。
「ヘルメットした頭に当たっただけで、19万ももらうなんて」
「なんであんな奴にお金支払う必要があるんだ」
「何言って来ても無視したらいいのに」
いろんな意見があると思いますが、これらはすべて素人見解です。
我々には、加害者として被災者に損害を補償する義務があります。これは絶対。ついでに被災者に対し「大変な目に合わせてしまったのに、穏便に話し合いで解決して下さってありがとうございます」と敢えてお詫びを付け加えておきました。
その方針は一貫して変更していません。ただその額が問題だっただけで、その話し合いの中で、被災者が「ケガは完治した」とポロっと言ってしまわれたので、全治1カ月の軽傷で慰謝料が確定出来ました。
どうやら鬱病でもっと引き上げるつもりだったようですが、「作業現場の人間関係が悪くなって鬱病になった」と自らが証言され、それは出勤率が著しく悪かったことが原因として、所属企業からもこの点の指摘があったので、(当社にはその責任がない事)を文書で認めさせたと言う訳です。
これらのやり取りはすべて内容証明付き郵便で行いました。最近はネットで文章打ち込んで、正式なフォーマットで内容証明郵送してくれるサービスがあるんですね。知りませんでした。すごく便利で、単純明快な主張のやり取りが出来て、相手の無駄な言い訳を聞く必要もなかったです。
示談の場には代理人なんか現れず、被災者のお父様が付いて来ました。結局全部ハッタリで、司法書士も弁護士も雇う金などなかったのでしょう。こんな人を相手に問題を長引かせては、相手はどんな行動に出るは分かったもんじゃないでしょ。僕は刺されないか心配でしたもん。
「加害者である宮内君の責任を追求してやる」なんて言い出したら、業務上過失傷害罪を問われかねません。
いずれにせよ、解決してよかったです。いい経験になりましたし、僕は全く後味が悪いとも思いませんでした。めでたしめでたし・・・。
作品名:ひとり言 せずにはいられない 作家名:亨利(ヘンリー)