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歴史の傀儡真実

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 それまでは、大人しく国に入ることで、内部から操る、傀儡国家を考えていたのかも知れないが、もし、朝鮮を手に入れるとなると、
「日本はあなどれない」
 として、傀儡国家ではなく、本当に征服してしまい、西洋の属国となるか、植民地として、外国による政府が作られ。占領の憂き目にあっていたことだろう。
 それを何とか阻止できたことで、のちに迎える江戸時代で、鎖国という政策がとられることになったのだ。
 鎖国がよかったのか悪かったのか、賛否両論あるだろうが、そのおかげで、蝦夷国は、侵略されることもなかった。
 伊能忠敬や、間宮林蔵の時代に、蝦夷地も調査はされたが、平和になった江戸時代において、下手に蝦夷地に対して攻撃をするなど、国の滅亡にもつながる。その時代にも、南北の蝦夷国は存在していて、相変わらず、ロシアとイギリスの支配を受けている国であった。
 もちろん、南部は、傀儡国家として表向きには存在したが、内部的には、一組織による傀儡であった。これを、全世界的に暗黙の了解のように尽力したのが、重光の手柄だったのだ。
 時代は進み、南部蝦夷国の元首は、重光の子孫が世襲している。参謀として君臨するのが、頼経の子孫であることは言わずともわかることであろう。
 ただ、この頃になると、蝦夷国内においての傀儡は、事実上なくなっていた。傀儡を匂わせる雰囲気になっていることが、世界に類を見ない、
「蝦夷国」
 の国家体制だったのだ。
 この体制が、いずれ、戊辰戦争で後退してきた幕府軍に対し、
「蝦夷に一大国家を建設する」
 という、榎本武揚や、土方歳三の考えに結びついてくるのである。
 五稜郭というものが建設された背景には、かつて存在した、
「南部蝦夷国」
 があったのだということを知っているのは、榎本武揚、土方歳三、大鳥圭介などの、一部だけだったのだった……。

                 (  完  )




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作品名:歴史の傀儡真実 作家名:森本晃次