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奴隷世界の神々

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「そうか、逆にいえば、今では、パラレルワールドという世界は、存在するものとして考えられるまでになったのか?」
 という考えである。
 しかも、パラレルワールドというものを勘違いしている人も多いようで、
「時間軸が一直線に前にしか進めないとして、次の瞬間には、無限の可能性が広がっているが、運命によって一つしか起こりえない」
 ということである。
 運命がなければ、何が選ばれていたのか、分からないということだろう?
「一寸先は闇」
 ともいうではないか?
 作者は、そんな社会をパラレルワールドだと思っていたが、他にも同じように思っていた人も多いのではないだろうか?
 だから、そういう意味で、自分が考えていたことと違うパラレルワールドが本当に言われていることだとすれば、他の考え方と最初から違っている。
 そう思うと、最初から、存在していたものだという考え方もおかしくはないのではないだろうか。
 この奴隷の世界というのは、
「ひょっとすると、このパラレルワールドなのではないか?」
 と考える人がいた。
 その対象が日本だということを考えた人はほとんどいないと思うが、自分たちの奴隷の世界というものが、パラレルワールドで、架空の世界に違いものだと考えるからこそ、
「自分たちは奴隷であっても、ショックなことはない」
 と感じないのだろう。
 そして、その奴隷の国の中で、パラレルワールドの存在を誰も疑わないことで、パラレルワールドという世界は、
「確実に存在するのではないか?」
 ということに信憑性が生まれ、
「パラレルワールドというのは、本当は存在しているものなのだ」
 と感じるようになっているのかも知れない。
 そんなパラレルワールドという世界を想像した奴隷社会の人は、
「自分が想像していることは、他の連中にも分かることであって、気持ちは一つだ」
 と感じていたことだろう。
 しかし、それは実はそうではなく、逆にパラレルワールドとしての、もう一つの奴隷社会と言ってもいい、この日本に存在していた。
 日本に存在しているその人も、
「パラレルワールドという世界は、そもそも存在するものとして、創造されたものであり、誰もが、信じているものなのだ」
 と考えていたが、実際には、その存在を一番疑っていたのかも知れない。
 だが、その人は、小説家であり、
「自分の発想がまわりの人とは、ほとんどの点において、違っている」
 という考え方であった。
 しかし、
「絶えず小説家というのは、自分の書いた内容が、本当のことになったりはしないだろうか?」 
 ということを考えながら書いているという。
 もし、この奴隷の国が、日本のパラレルワールドであるとすれば、鏡に映ったかのような世界になるのであろうか? あまりにも違っている世界であり、世界観も考え方も違う。
 ただ一つ思うことは、
「この奴隷という世界における神というのは、これほど人間臭いものもないのではないだろうか?」
 というものである。
 そして、これらの神が、まるで、
「ギリシャ神話における、オリンポスの十二神」
 に考え方が、酷似しているではないか。
 この物語を書いている作者は、
「これはフィクションだ」
 と思って書いているが、本当にそうであろうか?
 まさかではあるが、パラレルワールドが存在するかどうかは別にして、どこかの国には、
「奴隷として扱われていながら、自分たちの奴隷としての運命を甘んじて受け入れ、それだけに他国には絶対に知られていない」
 というのが存在しているのではないだろうか?
「こんな国は絶対に存在しない」
 という、狭い固定観念が、発想はしても、その存在を否定するのは簡単にしてしまうからではないだろうか。
 このお話を書いている、私こと、作者は、最後まで書き手としての自分を表に出さなかった。
 読んでいて、
「何かしっくりこない」
 と思われていた読者も多いだろう。
 つまり、このお話は、
「一人称小説」
 であり。作者からすれば、
「してやったり」
 と感じる、
「叙述小説だ」
 と言ってもいいだろう。
 ただ、作者も知らなかったが、奴隷世界に存在する私と思しき小説家がいて、似たような話を書いていたのだが、結果として、発禁になってしまったという。
 私のこの小説が、本当に日の目がくることはあるのだろうか?

                 (  完  )



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作品名:奴隷世界の神々 作家名:森本晃次