人生×リキュール ベネディクチン
母ともっと話しておけば良かったかなと小さな後悔がニキビのようにぽつっと頭を出した。でも、まあ無理ね。生前のあの人はともかく激しかったから。到底マトモな話なんてできやしなかったわ。そんな思いのニキビを弄くりながら、温かい日差しに包まれてソファーに腰掛けていると瞼が重くなってきた。穏やかな幸せをじんわりと噛み締める。「しあわせだぁー」どこか遠くから父の声が聞こえたような気がした。
※ベネディクチン
フランス北部ノルマンディ地方の海沿いの町にあるベネディクト会修道院において1510年に開発された伝統的な薬草系リキュール。フランス革命により一時製造中止となったが、見事復活し現在はシャルトリューズと人気を二分するまでに成長した。ブランデーをベースに二十七種類のハーブとスパイス類が使用された本品はどっしりと丸みのある味わいが特徴だ。琥珀色に輝くボトルに赤いシーリングワックス、ラベルに表記されているDOMは「Deo Optimo Max-imo(至善至高の神に捧ぐ)」という意味である。頭痛、気管支炎、更年期障害などに効くとされマレーシアでは薬用酒として浸透しているらしい。
ブランデーと割る「B&B」や、カルヴァドスとレモンジュースと合わせてシェーク後にオレンジ・キュラソーを垂らした「ハネムーン」などのカクテルが有名である。その他、シンプルにオンザロックにしたり、トニックやオレンジジュース、ミルクなどで割ったりする飲み方も人気だ。
作品名:人生×リキュール ベネディクチン 作家名:ぬゑ