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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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僕が死んだ後の話

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「やあ」

話し掛けてきた見知らぬ幽霊に、僕も「やあ」と返した。彼は挨拶をしただけだったのか、僕の脇をすり抜けていった。

そこらじゅうに、僕の仲間が居た。

時々は自宅に帰るかもしれないけど、僕はもう幽霊として生きていくしかないのだろう。それはもしかしたら、辛いのかもしれない。

でも僕には、幽霊生活に飽きて悲嘆に暮れても、その時にも寄り添ってくれる仲間が居るだろうと、もう分かっていた。だから、あまり怖くなかった。

“駅前はどんな事になってるかな。きっといっぱい居るだろう”

そう思って少しウキウキしてくる足取りで、いくら歩いても疲れなくなった僕は、駅前ロータリーにまた向かった。




おわり
作品名:僕が死んだ後の話 作家名:桐生甘太郎