僕が死んだ後の話
「やあ」
話し掛けてきた見知らぬ幽霊に、僕も「やあ」と返した。彼は挨拶をしただけだったのか、僕の脇をすり抜けていった。
そこらじゅうに、僕の仲間が居た。
時々は自宅に帰るかもしれないけど、僕はもう幽霊として生きていくしかないのだろう。それはもしかしたら、辛いのかもしれない。
でも僕には、幽霊生活に飽きて悲嘆に暮れても、その時にも寄り添ってくれる仲間が居るだろうと、もう分かっていた。だから、あまり怖くなかった。
“駅前はどんな事になってるかな。きっといっぱい居るだろう”
そう思って少しウキウキしてくる足取りで、いくら歩いても疲れなくなった僕は、駅前ロータリーにまた向かった。
おわり