あの穏やかな ✕ 椰子の木の下
エピローグ
ニ週間後、マルコは自分の船で、再び例の島に戻って来た。海図に乗っていないその小さな島の位置を、水先案内を専門としていたマルコは正確に把握していた。
マルコとクンタがあの小さな砂浜に小舟を漕ぎ着けると、マルコが一直線に向かったのは、大きな椰子の木だった。ここに漂着した日、その下で穏やかな眠りに着いた例の椰子の木である。
マルコは確信していた。この木の下に財宝が埋まっていると。なぜならあの日、夢の中で見た金貨の山がマルコに確信を持たせたのではなく、あの時、夢の中で聞いた音、
『★グァッチャンッ!!!』
椰子の実が砂に落ちたにしては不可解な音。夢の中での勘違いだと思っていたのだが。
マルコはクンタにその下を掘らせた。するとすぐに古い木箱が顔を出した。二人はさらに掘ると、それはいくつもいくつも。
「キャプテン・モローの隠し財宝だ。これでフランコに殺された仲間たちの恨みを晴らしてやる」
そう言うとマルコは、木箱を斧で叩き割った。あの時の夢と同じように。
そこには国が買えるほどの大量の金貨が入っていた。
おわり
作品名:あの穏やかな ✕ 椰子の木の下 作家名:亨利(ヘンリー)