あの穏やかな ✕ 椰子の木の下
「僕はきっとお前の建造中の大型船を買えるくらいの金持ちになって見せる」
「国を動かせるくらいの成功が、お前に出来るものか」
「お前に殺された船乗りたちの恨みを忘れるな!」
マルコは席を立った。そして部屋を出ようとして監査官を睨んだ。
「素直になればいいものを・・・」
★ガツン!
監査官がそう言った途端、クンタが彼の顔面を殴り付けた。
「仕返し、まだ足りない。お前、許さない」
監査官は、顔を押さえて床にしゃがみ込んだ。マルコとクンタはそれ以上は怒りを抑え、握りこぶしに力を込めて屋敷を後にした。
「虫ケラどもに何が出来るものか。ワッハッハッハッハッハ」
フランコは、港に帰る二人をバルコニーから見下ろして笑った。その横で、監査官は恨めしい表情をして立っていた。
作品名:あの穏やかな ✕ 椰子の木の下 作家名:亨利(ヘンリー)