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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

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「やあやあ、マルコ君。裁判以来だねぇ。元気にしていたかい?」
「ええ、おかげ様で」
「そのみすぼらしい奴隷は何だね。もっとキレイな顔をした奴を雇いたまえ」
フランコは向かいの一人掛けソファに座った。
「クンタは奴隷ではありません。私の共同経営者で友人です」
「・・・ほ、共同経営だって? 君も物好きだねぇ」
「彼には命を救ってもらいましたから」
「はははは、私は君たちの冒険談になど興味はないよ。今日はビジネスの話をしようじゃないか」
「はい、奴隷売買のビジネスですね。あまりうまくいっていないようですがね」
「・・・その通りだよ。君が裁判なんぞ起こすから、悪評が立ってしまって、思うようにいかんのだ。はっはっはっは」
「私のせいではありません。あれは監査官が犯した犯罪が原因です」
「そんな監査官はどこにもおらんじゃないか」
「あなたがもみ消したんでしょう。私は真実を見て来ました。クンタも一緒に」
「君がそんなことを言うから、保険屋が疑って、支払いを止められてしまったじゃないか」
「それは、大変でしたね。でも自業自得ではないですか」
「そうだとしてもだ。もう済んだことじゃないか。なあ、君が協力してくれれば、君の船をこの港で優遇してやることも出来るんだがね」
「・・・それは何か裏取引をしようってことですか?」
「察しがいいね。君が(監査官なんかいなかった)と言ってくれるだけでいいんだよ」
「それは出来ません」
「たったそれだけで、話はすべてうまくまとまるんだ」
「嘘はつけません」
「嘘じゃないよ。監査官だと思っていたのが、サンタ・アナ号を乗っ取ろうとした船員だったと証言してくれればいいんだ」
「それこそ嘘っぱちだ」
「はははは、どうせ船員はみんな死んでしまったからね。真相は闇の中でもいいじゃないか」
「なんてことを言うんですか。彼らは皆、誇りある船乗りです。彼らを裏切るようなことは出来ません」