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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

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「これは、サンタ・アナ号が運んでいた毛皮じゃないか」
海賊たちは商船を襲った後、略奪品をこの島に一時的に保管しているようだ。
「なら、織物もあるかもしれない」
マルコはそれがあれば、小舟に帆を張ることが出来ると考えたのだ。
「マルコさん、これ」
クンタはすぐに織物を見付けた。それは大きさが二十平方メートルもある立派な布だった。
「こんな高級品、帆にするにはもったいないけどね」
二人は布を担いで洞穴を出ようとしたが、マルコはちょっと気になるものが目に入った。
 幅五十センチほどの重厚な木箱。
(これは夢か何かで見た気がするけど???)
持ち上げようとしたが、かなりの重量だった。鍵がしっかりと掛けられたその箱を、マルコは持って来た斧で叩き割った。

★グァチャーン!!

 蓋が割れ、その隙間から顔を出したのは黄金に輝く金貨だった。マルコが椰子の木にもたれて眠った時、夢の中で見た光景と同じように、中から現れた金貨に大喜びした。

 マルコとクンタはその日のうちに、斧で切り出した真直ぐの樹を小舟に立てて、織物の帆を取り付けた。何本かの空のボトルに洞穴の水を汲み、飲み水代わりの椰子の実も十分積み込んだ。魚の干物も持っていたが、船には干し肉やオレンジ、小麦にラード(豚油)、ワインまで積まれていた。
「クンタ、僕は国に帰るけど、君は付いて来るかい?」
「私、あなたに仕える。私、雇ってください」
 この小舟なら、二人で十分操船出来るだろう。マルコは海図が無くとも、おおよそどの方角に故郷があるか、想像はついていた。