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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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あれから12年―3

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 三日目。
スーパーは開店前だったが、すでに五〇人ぐらい行列だった。
今日は早かったので、納豆が一〇個ぐらい残っていた。
いつも食べているのはなかったが、「国産小粒」というのを2パック手に入れた。ささやかだが満足感があった。

 帰り、少し雨にぬれたが、頭は禿げていなかった。
「放射能」とか「放射線」という言葉がよくないと思った。
聞いただけで、本能的に危険を感じるからだ。
原発から出る放射性物質は、主としてγ線だが、半減期が短い。
だからあまり心配しないほうがいい。心配すると頭が禿げると思った。(ところが、今は少し違う。セシウムというやたら半減期の長い放射線の影響が問題になっている)

 夕方になると、〈また明日から病院だ〉と、すこし緊張感がもどってきた。
このまま、何もしないで家にいられたらいいと思ったが、そうもいかない。
三連休どこにも出かけずじっとしていたのは初めてだ。
しかし、私は不満なく、疲労感もなく、快適とも思える毎日だった。
町全体はいつもより、ひっそりしていた。
人々の表情は暗いというより、落ち着いているように見えた。
静かに生きている感じが好ましかった。
〈こういう三連休は、これから先、やってこないかもしれない〉と思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 稿を終えるにあたって、お亡くなりになった二万数千の方々のご冥福を謹んでお祈りさせていただきます。
それと共に、故郷を失った方々、様々なご苦労をなさった方々、今どうしていらっしゃるのでしょうか?

 今朝の新聞にありましたが、「なんにもない日、おめでとう!」
ほんとうにその通りですね。いつ、同じような災害が私たちを襲ってくるかわかりませんものね。
作品名:あれから12年―3 作家名:ヤブ田玄白