あれから12年―1
あれから12年 (一)
あの大惨事から12年が過ぎた。
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三月一一日の二時四六分だった。
病院の自室にいると、グラグラときて、いつもより強く長く続いた。
思わず机の下にもぐりこんだ。
近くの部屋の医者や事務職員が廊下に出てきた。
私も廊下に出たが、何のために出たのだろう。じっとしてられなかったのだ。
インターネットのニュースを見て驚いた。
「津波の高さが二〇m」
〈うそでしょう。この前見た映画『ヒアアフター』の冒頭で、リゾート地に津波が襲ってくる場面があったけど、あれと同じじゃないか、これはえらいことだ〉と思った。
電車はすべて止まっていたが、帰宅したかった。帰らないと猫が心配するからだ。