愛情
その5
私の年代はほとんどの友人が親を見送っていて、しかも連れ合いも失くしているおひとり様もわずかにいる。でも彼らのほとんどに兄弟姉妹がいて、親族の話といえば子供の他にその人達の話になる。だが、末っ子になると上の兄弟姉妹は亡くなって淋しがっている者もいる。
最近夫を失くした友人はすっかり気弱になり体調不良や鬱的な症状をしきりに訴えてくる。毎日のように兄が来てくれるそうだが、兄が亡くなったら亦今回と同じ悲しみを味わうことになると、今から心配しているようだ。
それに引き換え私は夫と母が亡くなった後は、次は自分の番だから死ぬまで悲しむことはないと思っている。
守られて幸せだった時代が過ぎ、残された者はその落差がひどく悲しみも私には理解できないくらい深いのだろう。
これから私は娘たちの存在に感謝し、孫の未来を応援して生きて行くことになるだろう。
完 (次章へ)