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錯覚

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人は錯覚をする その1



えてして若い時は偉くもなんともない者を見て、何と素敵な人なんだろうと憧れたりする。そしてその網にかかって逃れられなくなり人生を棒に振ることだってある。

若い子を都会に出してそんな迷い道を辿らせる例は少なくはないのだ。
かといって付いて回ることもできず、干渉すれば親を疎み、言うことも聞かず自分の思い通りにしたがる。

子供が反抗期の時も親はとても苦労するが、もう大人になったと思う年代がこれまた心配の種にもなる。

反抗しているときはまだ親がかりだから軸の所では親の傘下で生活しているのでうまくやれば親が主導権を持って舵をとることはできる。

だが成人になり、少しでも収入を得られるようになるとそうはいかない。
親の望む職業に就くとは限らず、それでも良い仕事なら自慢の種にもなるだろうが、そうでもない場合は親は文句を言い、さりとて大人になった子供は言いなりにはならない。

それでもって親にとって望まない相手を連れてきて、結婚します、同棲しますとか言いだせば黙認するほかないのだ。

作品名:錯覚 作家名:笹峰霧子