小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

お墓を探しに行った

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

 寒い日だったが、チラシの地図を頼りに出かけた。
今の住まいからわりあい近く、親戚も墓参りがおっくうでないところだった。
何よりも私が心ひかれたのは、その墓地が桜の名所であることで、死んだ後も、美しい桜の下で眠れたら幸せだろうと思った。

 車から降りて、墓地へ向かった。
まだ死んだわけでないのに、なんとなく足取りが重い。
元気に歩くのが悪いような気がして、半分死んだような気持でそろそろと歩んだ。

 大勢の人が来ているだろう、と思ったが、まだ早い時間だったせいか、誰もいない。
テントの中から、案内の石材業者のオジサンが出てきて、
「お寒いところご苦労様です」と迎えてくれた。
オジサンは、厚いオーバーに身を包んで寒そうだった。

 いろいろ見せてもらって参考になったが、肝心なことを私は知らなかった。
ここの墓地を買うには、この寺の檀家になる必要があることだった。
私の家は別の宗派だったため、改宗する必要がある。
私は熱心な仏教徒でないから、改宗するのは一向にかまわないが、それ相当の手続きがあって、面倒だ。
考えるまでもなく、やめることにした。
作品名:お墓を探しに行った 作家名:ヤブ田玄白