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アメリカで教師をしていた英検1級講師が「京大二次試験」を受け

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  私は名古屋大学の教育学部を卒業し、アメリカの公立中学で教師をし、30年以上予備校・塾・専門学校で受験指導を行ってきた。その関係で多くの英語教師、英語講師に接する機会があった。アメリカ人はもとより、イギリス人、オーストラリア人、アイルランド人など多くのネイティブと接する機会があった。

 それで、「受験英語」「資格英語」「ネイティブ英語」の3つを書き分けられるんだよ。

「京大の入試の英作文ではどのタイプの英語が評価されるのか」

 が、この考察の問題意識です。

 

2、研究方法

 京都大学を実際に6回受験してみて、成績開示をする。その際、最初の2回は「受験英語」、次の2回は「資格英語」、最後の2回は「ネイティブ英語」を意識した書き方をしてみる。

  その結果の平均値を比較することにより、どのタイプの英語が高く評価されるのかを考察する。年度による難易度の差、学部により採点者が異なると思われるので、そこも考慮して考察してみる。

 3、調査の実施



平成18年、20年( 文学部  )正解率の平均 66% (受験英語) 

平成21年、22年(教育学部)正解率の平均 76% (資格英語)  

平成24年、25年(総合人間)正解率の平均 79%(ネイティブ英語)

 

  最高が81%であったので、Youtube 、 ブログ、ホームページ上において

「私以上の人がいたらお知らせください」

  と挑発したところ、2件の報告があった。82%であった(本当かな?)。京大が公表している最高点は総合点だけ。8割程度なのでこの8割は英語単独の最高点と考えてよいかな。

 4、結果の分析と考察

 この結果によると、サンプルが7個では有意差の検定が出来ない。しても、意味がない。 

1、私が受験慣れした。

2、受験、資格、ネイティブの訳し分けが曖昧。

3、年度、学部による難易度、採点の厳しさの違い。

  などの変動要因が考えられて、単純に「ネイティブ英語が最も評価される」と結論づけられないかもしれない。



第五章



  実験だけでは納得してもらえないと思うので、私が得た経験を実際に通塾生の方や、通信生の方の指導に使ってみました。



 A子ちゃんのこと

  もう10年以上経ったから書いても人物が特定できないだろう。長く受験指導をしていると忘れられない生徒がいる。A子ちゃんも、その一人だ。

  私の塾に来てくれたのは彼女が小学6年生の時のことだった。最初に面接した時に、一目見て

「この子は賢い子だ」

 と分かった。学力を確認しようとプリントを渡したら、いつまで経っても提出しようとしない。

  彼女は小学校の時から

「私は医者になりたい」

 と言っていた。私の塾はそういう子が多い。しかし、家庭は金持ちではないので何がなんでも国立大でないといけないと覚悟していた。私の小学校時代とはえらい違いだ。

 中学校では猛勉強して常に学年でトップクラスだった。そして、

「自治医大だと無医村に行けば学費が浮くとか聞いた」

 とお金がなくても医者になれる情報を集めだした。私もできるだけ協力して情報を収集した。

  灘やラサールや東海の過去問を集めて練習する授業も彼女から始めた。そして、当然のように四日市高校の国際科に合格した。

 その頃、メールやファイルが普及し出したので私はさっそく

「家庭学習中に出た質問はなんでも送れ」

 と塾生に檄を飛ばした。私は中学生は5科目、高校生は英語と数学に対応できる。

 A子ちゃんはほとんど毎日ファイルを送ってきた。その質問の内容も勉強していないと出来ない質問ばかりで感心することが多かった。私は、A子ちゃんからどれほどの力をもらったことだろう。実は、白状するが高校の数学を指導しようと決めたのは彼女の影響が大きい。

  英語に関しては、高校の時に英検の準1級に合格した。だから、英検1級の先生が必要になった。私は彼女の書いてくる英文の日記を読みながら添削をし始めた。これが、後にネットによる通信生の募集につながった。まことに、A子ちゃんが私に与えた影響は大きい。

 1級レベルのアドバイスをすると、たいていの生徒の方は

「何を言っているのか分からない」

 という反応だったけれど、A子ちゃんは私の意図することを即座に理解するため、授業も楽しかった。語彙や文法が正しければ良い英作文が書けるわけではない。

  当たり前だが、マナーやエチケット、採点官に対する思いやりが欠ける英作文は高く評価されない。学力だけではなく、そういう人間的な深みがないと合格の見込みがない。

  実は、私に京大を7回も受けさせたのも直接的にはA子ちゃんの影響が大きい。

「この子は日本の宝だ。何としても志望校に合格させなければ」

  と思った。出来ることは何でもやる。娘以外の人間で、私にそんな思いをさせたのはA子ちゃんが初めての生徒だった。

  A子ちゃんは、あるクラブに所属して大会で入賞する成績をおさめていることは耳にしていた。ところが、高校2年のある時、自主的にそのクラブを引退した。理由は分からなかったけれど、成績が伸び悩んでいたのが理由だということは推測できた。

  私は、彼女の覚悟というか気魄に驚いた。

「先生はバツイチでも、1回結婚できたからいいですよ」

 と笑っていた。言葉の端々にクラブばかりか、彼氏も結婚も何もかも犠牲にしても医者になるんだという強い決意が満ちていた。彼女のクラスがある時は、楽しかったけれど緊張した。

 「この仕事を始めてよかった」

 私にそう思わせてくれた塾生の子は多いが、彼女はダントツの存在だった。

    A子ちゃんは家庭環境にも、経済的にも恵まれていなかった。多くの生徒は、過酷な環境に置かれるとグレるか性格が歪む。しかし、彼女は厳しい環境を自分を育てる肥やしにできる稀な子だった。

 「政策金融公庫と奨学金と私のバイトで何とかする」

 そういうA子ちゃんだった。そして、ある時ボソっと

「お母さんが生命保険を解約するって・・・」

 と小さな声でつぶやいた。

  そんな貴重なお金を塾に提供してくれるのだから、リキを入れないわけにはいかない。損得勘定などなかった。何としても合格してもらわなければならなかった。私は中学・高校時代を通じて、A子ちゃんと言えばジャージと思っていた。たまに制服で来てくれたけれど、可愛い髪飾りを付けるでもなく、フリフリの洋服を着るでもない。もちろん、髪振り乱して勉強ということはなく、清潔にしていたけれどファッションに時間も金もかけるヒマはなかった。 

  A子ちゃんは、その後「国立大学医学部」に現役合格して「旧帝の大学院」で学び、現在は研究職に就いている。私はA子ちゃんを長く見ていて思うことがある。

  A子ちゃんは気づいていなかったが、当塾では彼女の指導から生まれた教材群のお陰で、その後なんと「京大医学部」合格者が4人も続出した。私の塾の救世主でもあったのだ。

 

第六章



 私の経験によると各テストの水準は以下のようでした。