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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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通勤は戦いだ

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 しばらくすると、男は居眠りを始めた。
時々身体がガクン、ガクンと揺れだした。激しい動きだった。
そして、まもなく、私の肩に向かって、白髪頭が迫ってきた。
男はかなりの年配者だったのだ。
朝から疲れているのだろう。
私は男が気の毒になったが、それでも、私の席、私の空間である。
白髪頭は私の領空権の侵害である。
どうにかしなければならない。
〈一発、頭突きかましてやろうか〉と思ったが、白髪頭をじっと支えてやるしかなかったのである。

 今朝の戦いは一勝一敗というところだったろうか。

作品名:通勤は戦いだ 作家名:ヤブ田玄白