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「猫」

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正(まさ)に青天(せいてん)の霹靂(へきれき)

父親の不倫発覚後
母親の行動は雷の如(ごと)く早かった

其(そ)れは然(そ)うだ

「聖」なる夜は「出張」と家族に偽(いつわ)った結果
「性」なる夜は浮気相手と過ごす気満満だったのだから怒り心頭に発するだろう

当然、降誕祭(クリスマス)は中止
新年早早、母親は自分を連れて実家のある「片田舎」へと戻る

母親にすれば其処(そこ)は生まれ育った「故郷(ふるさと)」なのだろう
自分にすれば知り合い等、祖父母しかいない「土地」だ

父親と別れ
友達と別れ
都会の生活と別れ、日日の境遇(きょうぐう)を嘆(なげ)く

共感等、持てない日日
興味等、持てない日日

嘸(さぞ)や可愛げのない娘、孫に成り果てた

「此(こ)の休みが終わったら如何(どう)なるの?」
「此(こ)の休みが終わったら如何(どう)にかなるの?」

自分の気持ちとは裏腹

母親は仲良しの「幼馴染」らしい
(「!!小母(おば)ちゃん、赤ちゃんの時に会ったのよ~!!」と豪快に挨拶された)
お年玉を呉(く)れた隣家の小母(おば)さんと玄関先で話し込む
母親は「如何(どう)にかなったのだろうか?」、思いながら盗み見る

昔話 所(どころ)か今話(不倫騒動)にも花が咲く
母親同士の傍(かたわ)ら、其方(そちら)も自分の母親から貰った
お年玉を手に蹲(しゃが)み込む少年の向かい側、何気に少女も蹲(しゃが)み込む

木の枝を鉛筆代わりに地面の画用紙にお絵描きをする
少年が口遊(くちずさ)む、「絵描き歌」に気が付いて木の枝を探し出す

思いの外(ほか)、周囲には見当たらず這(は)い蹲(つくば)って探した
木の枝を持って戻ると是又(これまた)、気が付いた

「手」を止めて
「歌」を止めて、少年は自分を待っていた

「ありがと」

小声で礼を言うが聞き取れなかったのか
無反応の少年は再び、「絵描き歌」を歌い出す

然(そ)うして描(か)き上がった物は
少年が描(か)いた物とは全(まった)く異なる物で
自分の「画」と少年の「画」を見比べる少女は首を傾(かし)げて考え込む

何が、如何(どう)して、斯(こ)うなった?

遂(つい)には目の前の少年が「くっくっく」と笑い出す
何とも他人(ひと)を小馬鹿にした笑い方に唇を尖らした少女が
自分の「画」を手の平で消しながら、お願いする

「もう一回!」

うんともすんとも言わない
少年が軈(やが)て「絵描き歌」を口遊(くちずさ)む

「歌、違う」

咄嗟(とっさ)に顔を上げて突っ込むも
視線すら合わせない少年は「手」も「歌」も止める気配がない

「此奴(こいつ)」と、苦苦(にがにが)しい表情を浮かべる
少女が苦戦しながらも何とか地面に描(か)いた物は矢張(やは)り
少年が描(か)いた物と見比べる必要 等(など)ない程、物体X(正体不明)だった

当然、笑い出す少年が徐(おもむろ)に振り返る
見れば家(うち)の門扉(もんぴ)前を自転車で通り過ぎる友人らしき少年 等(ら)に
名前を呼ばれて気怠そうに立ち上がった

「!凧揚げ行こー!」

誘われて何も言わずに此(こ)の場を去ろうとする少年 事(こと)
息子に小母(おば)さんが肝っ玉母さん宜(よろ)しく、声を轟(とどろ)かせる

「!!「夕焼け小焼け」(市町村防災行政無線)が流れたら帰って来なさいよ~!!」

手を振って返事をする背中を見送る
其(そ)れ以降、少女は少年と会う事はなかった

斯(こ)うして然程(さほど)
長くもない休みが終わっても自分は如何(どう)にもならず「片田舎」暮らし

都会の子どもは
「片田舎」に馴染(なじ)めず一人、孤独に過ごすんだ

「片田舎」の校舎
「片田舎」の同級生、心細くも心 躍(おど)る学校生活
其(そ)の儚(はかな)い希望は少年が同級生だと知った瞬間、消えた

屹度(きっと)、何奴(どいつ)も此奴(こいつ)も
得体の知れない少年同様、虫が好かない連中に決まっている

思う存分、憂鬱(ゆううつ)な気分で迎えた転校初日
「送迎する」と、宣(のたま)う母親の言葉を「抗議」の意味も込めて拒否する

其(そ)れでも能天気なのか?、いそいそと身支度をする
母親を如何(どう)にか振り切り(「パンスト伝線してる」「え、嘘嘘 何処(どこ)?!」)
玄関 引戸(ひきど)を引き開けた自分の目の前に
背嚢(ランドセル)を背負った少年が蹲(しゃが)み込んでいたのには正直、驚いた

一瞥(いちべつ)もせず立ち上がる
手にした木の枝を振り回しながら少年が歩き出す

何故か、慌てた自分は其(そ)の背中を追い掛ける
何故か、「!行ってらっしゃい!」と、掛ける母親の声が弾んでいる

何故か、付かず離れず一緒に登校した

屹度(きっと)、小母(おば)さんに頼まれたのだろう
屹度(きっと)、小母(おば)さんに母親が頼んだのだろう

如何(どう)でも良いが
如何(どう)にも調子が狂うのが本音だ

何時(いつ)の間にか、ふらっと現れたかと思えば
何時(いつ)の間にか、ふらっと消えていなくなる「猫」みたいな奴

作品名:「猫」 作家名:七星瓢虫