ちょっと高すぎたのではないか
まもなく復旧のアナウンスがあった。(意外に早かった)
予定より一五分ぐらい早く、電車は動き出した。
先ほど駅前酒場に寄ってくると出かけた男はまだ車内に戻っていなかった。
駅前酒場で酔いつぶれたのだろうか。
残った三人の男は
「あいつ、やっぱり帰って来なかったろう。しようのねえ奴だナア」
と笑いながら見捨てていた。冷たい連中である。
ハイボールの紳士は柿の種をつまみながら、静かに、ビニール袋で隠したつもりのハイボールを飲んでいた。
作品名:ちょっと高すぎたのではないか 作家名:ヤブ田玄白