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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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ちょっと高すぎたのではないか

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 先週の金曜日、帰りの電車だった。
〈明日は休みだ!〉
いつもと違って、なんだかうれしい。
〈前回とは違うのだ。明日の土曜日、休みなのだ。浮かれるほうの人間なのだ!〉
そう思うと、電車の中でウキウキしていた。

 すると、乗り換えの駅で、あのオトーサン(前回登場した方)が乗ってきた。
私は優先席だったが、その真向かいに座った。

〈もしかして、私のことを覚えているだろうか? この前、「アサヒスーパードライ」をグビリとやった瞬間を目撃されたことを覚えているだろうか?〉

私は、素知らぬ顔で窓の外を見ていた。
オトーサンの右手には、前回大事そうに持っていたもの(カンビール)がない。
〈どうしたんだろう? 家で飲ませてもらえるようになったのだろうか。よかった〉

 それに、オトーサンの靴は先日のと違っていた。
前回は登山靴のようなのを履いていたので、土木関係のエライ人かもしれないと思っていたが、今日は普通の革靴を履いていた。
〈仕事が変わったのだろうか? もしかすると、以前ほどの収入がなくなって、カンビールを買うのを控えているのかもしれない〉
私は複雑な気持ちになった。