ちょっと高すぎたのではないか
カンチューハイは冷やして飲むとけっこうおいしいし、酔っ払う。
家で飲むなら、ビールの後はカンチューハイがいいかもしれない。
安上がりだし、夏の夜には、冷えたカンチューハイ(私は「氷結」が好きだ)を飲んで寝ることもある。
〈そうだ。カンチューハイは寝る前に呑むのが、正しい呑み方なのだ〉
男は、これから帰宅して寝るのかもしれない、と私は気づいた。
〈夜の仕事が終わって、昼間は寝ているのだろうか〉
そう考えると、この男の行動は異常ではない。
私の生活の昼夜を逆転すればよいのだ。
とすると、私が夜カンチューハイを呑むころ、男は目覚めて出かけるのだ。
私がイビキをかいて、歯ぎしりしている間、男はどこかで働いているのだろう。
〈お疲れさまでした。もう少しで寝られるでしょうから、ゆっくりカンチューハイ呑んでください〉と、私は謙虚な気持ちになった。
作品名:ちょっと高すぎたのではないか 作家名:ヤブ田玄白