ちょっと高すぎたのではないか
〈しまった!名前を間違えてしまった〉
「すみません。申しわけございません。△山さんでしたね。△山さんの今日の結果ですけど」
慌てて言い直したが、一度狂った歯車は容易に元へ戻らない。
険悪な空気がしばらく漂っていた。
○本さんというのは、病院の事務の人で、しょっちゅう、用事で会ったり、電話する人だ。
それで、「○本さん」と無意識に出てしまったのだろう。
無礼はいろいろあるけれど、名前を間違えるのは、かなり上位の無礼だ。
作品名:ちょっと高すぎたのではないか 作家名:ヤブ田玄白