ちょっと高すぎたのではないか
言葉も頭もはっきりしなくなった
月曜日の人間ドックは、神経が疲れる。
その日は寝不足で、診療の前から疲れていた。
頭もボーっとしていた。
お昼を過ぎて、最後の人になった。
バリっとしたジャケットに眼鏡を光らせた五〇過ぎの男性だった。
一流会社の社員だろう。
あいさつ抜きで入ってきたが、見るからに、一流企業社員としてのほこりを、全身にかぶって(ではなく、みなぎらせて)腰を下ろした。
私は腹が減っていた。口を開くのがようやくだった。
「こんにちは。エー、○本さんは、現在、病院にかかっていることはありますか?」(面接の最初の決まり文句だ)
男は、意外なことに、私に鋭い視線を向けた。やや強い口調で、
「ないですよ」と答えた。
「ハア、そうですか。それでは、今日の結果をご説明させていただきます。
今日の○本さんの結果ですけどね。」
すると、彼は言った。声に怒りがあふれていた。
「△山ですけど。」
作品名:ちょっと高すぎたのではないか 作家名:ヤブ田玄白