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人生×リキュール ルジェ・クレーム・ド・カシス

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 そして、孤独にもなれそうにない。
 バンドでの活動を生業にしている俺を取り巻いている環境を振り返ってみれば、なんだかんだといつだって騒がしい。
 俺は一生かけてもあの男のような音は出せないかもしれない。だが、
「明日、本番跳ねたら、飲みに行かないか?」
 口から出たのは採りたてのセロリみたいにシャッキリとした調子だった。自分の声じゃないみたいだと一瞬戸惑う。煙草に火を点けたベーシストが答えるより先に、通りすがりのギタリストが「行く行くー!」と元気いっぱいに手を上げて飛び込んできた。
「やっと、全員揃って打ち上げできるっすね!」ギタリストの言葉に、思わず頬が緩んだ自分がいた。
 内ポケットに入れたスマホが振動している。胸の鼓動が速くなっているのは、きっとそのせいだろう。




 ※ルジェ・クレーム・ド・カシス(リキュール・ド・カシス、クレーム・ド・カシス・ド・ディジョン)
 カシスとはベリー類の黒すぐりのことで、別名「ベリーの王様」と呼ばれるほどビタミンやポリフェノール、ミネラルが豊富で、中でも4種類のアントシアニンが含まれていることで知られる。1841年に、ラグート社が、ブルゴーニュ地方の丘陵には繁茂するカシスの実に注目して開発した。芳醇な香りと爽やかな甘さ、バランスのいい酸味を併せ持つ。フランスでは果実系リキュール生産量の40%以上を占め、別枠で取り扱われているほど生産量が多く、老若男女から愛されるリキュールである。アルコール分最低15度以上で1ℓ当たり400g以上の砂糖を含むものがクレーム・ド・カシスと表記でき、さらにブルゴーニュ地方コート・ドール地区産のカシスのみを原料にしているものはクレーム・ド・カシス・ド・ディジョンと区分される。なお、果実味が溶け込んでいるため開栓後の酸化に極端に弱い。
 度数が調整できるカシスリキュールは、ソーダやオレンジジュース、グレープフルーツ、ウーロン茶、ミルクなどで割った居酒屋でもお馴染みの「カシスソーダ」や「カシスリッキー」「カシスオレンジ」「カシスグレープフルーツ」「カシスウーロン」「カシスミルク」が一般的だが、他にも、「カシスモヒート」やワインと割る「キール」「キールロワイヤル・カーディナ」なども人気のカクテルである。更に、テキーラと組み合わせた「エル・ディアブロ」や「パリジャン」「オーロラ」といったバリエーションも見逃せない。また、シロップ感覚で、アイスにかけても美味である。