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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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ところで、引きこもり状態だと、何が起こるか。

様々に悪い事があります。数え切れません。例えば食欲が減ったり、眠れなくなったり。

これは、実際に外に出ていないから、エネルギーや休息が必要なくなる面もあります。でも、僕は、そうした欲求を感じる能力が下がるんじゃないかと思います。

人間を刺激の無い空間へ留めておくとどうなるのか、という実験では、数を数えるスピードが変わっていったり、排便が滞ったりと、様々に身体精神への悪影響がありました。

時子の場合、身体面では、眠りの規則が乱れが、まずあります。それから、彼女はいつからか、強迫的に起きているのを怖がるようになった。

あとは、お腹が空いている感覚はあるのに、食事の用意に踏み切れない、というのは、バランスの悪い食事へ繋がりました。“手早く用意出来さえすればなんでも良い”という考えに至るからです。

それから、薬で解消は出来ているけど、酷い便秘や、自律神経の乱れから起こる不快な体調不良などもあります。

雨が降れば体が怠くて動かせなくなり、風の日にはどうしても眠くて眠ってしまい、台風が来れば目眩や動悸、激しい息苦しさなども起きます。

では、精神面では何が起こるでしょうか。

まずは、精一杯の慰めの言葉や、当たり前のスキンシップでも癒せない、激しい落ち込みです。

それから、冷静に建設的な考え方が出来なくなる、悲観的な思考回路が習慣化する、好きな事もなんだか楽しくなくなる。

それらを全部まとめると、「ずっと家に居て、楽しい事も無いから、悲観的で建設的ではない思考に囚われたまま、誰も慰められない落ち込みに落ちていく」となります。

加えて、前に話した身体面の、「いつもなんとなく体が怠くて、まともな食事もしていない」が上乗せされる。だから余計に外に出なくなる。悪い事だらけです。


これらの負のサイクルを断つには、今は辛くても、少し頑張って、外に出てもらうしかありません。その為にも尽力してくれる夫君が居てくれて、良かったと思います。

夫君との結婚前、時子がまだ、無口な父の家に居た頃は、「外出訓練」は独りでやっていました。

これからは、夫君が居てくれる。君はのびのびと生きて欲しい。僕はそう思っています。


今日もお付き合い頂き、有難うございました。もしかしたら、もう少し短く、千字くらいの方がいいのでしょうか?次回からそうしてみます。

それでは、また次の話でお会い出来ますと、嬉しいです。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎