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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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126話 お米食べてね






「米をくれ!」

目が覚めた僕「五樹」は、すぐさまそう叫び、自宅で卓に就いていた夫君は、冷凍してある米を電子レンジで温めに立ち上がりました。


手短に話しましょう。ついに“育児ノイローゼ”がやって来ました。少し早かったかなとは思いましたが。

まず、一児はずっと9月11日から家に時子と一緒に居て、時子は途中から育児疲れを感じ、まずは肩凝りと食欲不振が出ました。

その辺りの9月20日に二児が退院して来て、本格的な双子育児が始まりました。

勿論夫は夜に時子が眠る間に育児を担ってくれますし、辛い時には日中でも代わってくれます。でも皆さん、思い出して下さい。時子は重度のうつ状態で、外出も自力では出来なかった病人なのです。それが突然、家事と育児を、手伝って貰えるとは言え、始める事さえ危険ではないでしょうか?


近頃の時子は「野菜とお魚が食べたい」と言い、サラダをたくさん食べるのですが、その結果「お米入らなかった、要らないや」と、殆どの食事で炭水化物を摂りませんでした。

それで彼女は余計に体調を崩し、今日は寒気と頭痛を強く訴え、恐らく風邪を引きました。少し前から際限なく目やにも出ていたし、膀胱炎にもなっています。これらは全て、栄養と休息が不足した、免疫力低下の為でしょう。

育児ノイローゼは現在、頭痛、肩凝り、無気力感、食欲不振、気分の落ち込みと、全ての症状が出ています。昨日は落ち込みから時子はとても久しぶりにリストカットをしていました。


僕はこれから、たっぷりと消化の良い栄養を摂取し、なるべく休まなければいけません。

子供達二人は、平日になったら2日間信頼出来る保育施設に預ける事になっていますし、それ以前は恐らくずっと僕が意識の前に出ているでしょう。なんだかそんな気がします。時子は疲れ切ってしまったので。


いつもお読み頂きありがとうございます、皆様も、体調には気を付けて、特にダイエットなどで糖質を全く摂らないのはお避け下さいね。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎