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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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107話 悠くん無双






こんばんは、五樹です。ええ、元の通りに、五樹です。


前回の話で、急に「悠」が小説を書き始めたので、驚きなさった方も多いんじゃないかと思います。どうもすみませんでした。

どうやら悠も、自分の話を聞いてもらいたくて、悠にしか話せない事もあると思っていたようですね。

でも、時子もそれにはびっくりして、「今度からは、五樹お兄ちゃんにお願いして、「次は悠が書くよ」ってお知らせしてもらおうね」と言っていました。

皆様は大まかな事情をご存知で、話者が変わる体験もしているとは言え、急にエネルギー満点の7歳児が出てきたらびっくりしますからね。僕も、それはいい案かなと思いました。何もそこまで手の込んだ事も必要無い気もしますが。


ところで、ほとんどの時間に「悠」が目覚めている状況は、変わっていません。

時子は前にも増して食欲がなく、決して自分で食事をしなくなってしまいました。なので、時たま時子が出てきても、空腹になれば、すぐに悠に交代してしまいます。

それに、時子が辛い思いをしても、あまり物事を辛いと感じない悠に交代します。

つまり、食欲などに構っていられず、常に辛い時子が、もうそれに耐え兼ねて、悠を表に出しておく事になった。一度悠を長時間出してみてから、その状態だと自分にダメージが全く無いので、彼を気に入ったという事ではないでしょうか。


「悠」は、たっぷりの野菜のおかずと、少しの肉類、控えめな量の米、それから少しのフルーツというように、まるで療養食のような食事を、楽しんで食べてくれます。

時子の夫や僕等は、野菜の調理は大変になりましたが、大変に満足して、安心しました。

悠は、「お腹にいい」といって、毎日、風呂上がりにカルピスを飲みます。砂糖ゼロの物ですが。

毎日良い食事をして、毎日ゆったりと入浴をする。悠はそれを楽しんでいるようです。


それから、悠は、時子の体調が悪いのをとても心配しているので、時子を助けようとして、Twitterで話しかけたりします。まあ、状態だけを見たら、自分にリプライをするという、ヘンテコな物ですが。

でも、それについては、やめるようにと僕から言い含めました。

「時子ちゃんに急に話しかけたら、「別人格から話しかけられたら!」ってびっくりしちゃうし、「すぐに良くなって」なんて出来ないことを、やれ、やれ、って言われたら、時子ちゃんは困っちゃうよ。元々辛いんだから、困らせたら、もっと辛いからね。だから、時子ちゃんが悲しんでいても、無理して喋らせないでね。」

こんなふうに。悠は素直にすぐに納得してくれたようですが、「苦しかったり、悲しいなら、誰かになぐさめてもらえばいいのに」と、まだよく分かっていない所もあるようです。時子にとって、慰めは慰めとはならないと悠が正確に理解出来てしまえば、彼はとても悲しむでしょう。


繰り返しますが、僕達の内、誰が起きるのかは、全て時子が決めます。その時に必要な特性を持った人格が居ます。

時子、繊細で創造的な人。

五樹、理性的かつ残酷さにもショックを受けない人格。(少し冷酷とも言われます)

悠、ストレスが少なく生活が健全な人格。

桔梗、決断力のある人格。

彰と羽根猫については、時子が現時点では表現を望まない感情を持っているので、ほとんど出てきません。それに、彰は「表には出たくない」と言います。


でも僕達は、明らかに大きく変わりました。人格全員に、活力が注入されつつあります。

もしくはそれは、悠がいつもよく休んでいて、バランスのいい食事をたっぷり摂っているからかもしれません。

皆様も、普段の食生活を見直してみたり、運動不足を解消するのは、案外いい手かもしれませんよ。


それでは、前回は驚かせてしまい、すみません。いつもお読み頂き有難うございます。また目ぼしいトピックスがあれば、書きに来ますので、それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎