EMIRI 8 元カレが帰って来ると
「あれ!?、これネックレスか何かですか?」
「うん。ペンダント」
「ありがとうございます!」
中に入っていた細長い箱を取り出すと、
「なんと! “4℃”じゃないですか。すごく嬉しいです。開けてもいいですか?」
「うん、開けてみて」
ケースの包装紙をパリパリと少しずつ開けようとする恵美莉に、桧垣は突然手を出して、ビリッと破らせた。
「あん!もう!! せっかく丁寧に開けてるのにwww」
恵美莉は咄嗟に桧垣に近寄り、右の手のひらを振り上げながら言った。そして笑いながらケースを開けると、中にはプラチナチェーンのルビーのペンダントが入っているのを見て更に笑顔になった。
「これも誕生石。先生ぇ、ありがとうございます」
桧垣はそのペンダントのチェーンを優しくつかんで持ち上げて、
「着けてあげるよ」
「はい」
恵美莉はくるっと背中を向けて、その髪を少しかき上げて静かに桧垣を待った。桧垣はチェーンの留め具を外し、恵美莉の胸元にペンダントトップを載せて、彼女のうなじのあたりで、その引き輪を留めた。
「ありがとうございます。すごいきれいな色」
「そうだね。よく似合ってるよ」
そう言いながら恵美莉の背後から、チェーンのゆがみを整えてペンダントトップを胸の谷間に置くと、桧垣は軽く彼女の乳房を両手で触った。
「やん!」
「ふふふ、たまらんねぇ」
「だからダメですって!!!」
笑顔のままで怒る恵美莉。
「じゃ、お礼のキスは?」
「う~ん。それもお預けです。暫くはキレイなままでいたいので」
今度は桧垣から顔を背けて距離を置いた。
「彼氏には勝てないか」
軽く苦笑いして見せる桧垣。
「はい。残念ですけど、先生とはまた今度」
「じゃ、その時は逃がさないぞ」
無理に口説き続けず、あっさりと引き下がっておく桧垣は、さすが心理学の助教授である。
作品名:EMIRI 8 元カレが帰って来ると 作家名:亨利(ヘンリー)