EMIRI 8 元カレが帰って来ると
「努力はしてるよ」
「ふ~ん。例えば今日はどんな努力してたの?」
「え? 今日は村木とドライブして・・・」
「昨日もしてたのに?」
「ああ、話すことがいっぱいあって・・・」
「へえ? 二人だけの大事な話に、女の子を連れて行ったのかなぁ?」
キッドは、今日の女子たちとのドライブを、どこかで見られてたのかって考えた。
「後部座席から香水の匂いしてんだもん。誰連れてってたのよ?」
「いや、いやいや。こ、後輩だよ。高校の後輩」
「ふ~ん。以外にも楽しく遊んでたのね」
「そんな事ないよ」
「じゃ、そのバイザーにぶら下げたサングラス。あざといよ」
「これは今日眩しかったから・・・」
「何、眩しさに“カコ”つけて、“カッコ”つけてるのよ!」
「う? またおもろい表現。お前、絶対小説書いた方がいいと思うよ」
「誤魔化すな! 楽しんでたんでしょ!」
「ま、ちょっとだけな」
「用心しないと、そんなことからもバレるんだよ」
「お互い大人になったなぁ」
「色々気を付けとかないとね」
「色々気を・・・色気を付ける?」
「バカ。それも書かないわよ」
「・・・・・・恵美莉、俺ちょっと心配なことあるんだ」
「あたしは大丈夫よ」
「お前じゃないよ、村木の方」
「ああ、大丈夫じゃない? 案外、現地人の彼女いるかもよ」
「・・・なんか知ってる?」
目が宙を舞い、視線が定まらなくなったキッドに、
「ふふん。男って、空気よどませるの上手だから」
と、恵美莉は落ち着いて言った。
「・・・くうき?」
「それよ、それ。もう、颯ちゃんの肩持たなくったっていいよ」
「別に肩持ってるわけじゃ」
「はいはい。次行ってみよー!」
「あっさりしてるな。もっとしんみり泣き出すのかと思ってたのに」
「男扱いうまくなったでしょ」
「確かに村木の性格を見抜いて、うまく片付けたよな」
作品名:EMIRI 8 元カレが帰って来ると 作家名:亨利(ヘンリー)