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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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続 金曜の夜、人間は二つに分かれる

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 今朝、電車の中で、そんなことを思い出していると、前の席に「詩人」と同じ制服を着た男子中学生が、二人並んで腰かけた。
二人とも同じようにノートを広げている。
そして、遠くを見ながら、何か書いている。
〈彼らは詩の仲間なのだろうか?〉

 一人の男子のノートの表紙に「皆勤賞」のハンコが押されていた。
きっと、小学校の卒業式でもらったのだろう。物持ちのいい子だ。
堅実な家庭で育ったのだろう。
お父さんにはまだ会ったことはないが、きっと和やかでいい家庭なのだろう。

 見ると、二人の足元にはビニールの大きなカバンがあった。
中には運動用具が入っているらしい。彼らは野球部員のようだった。
彼らが遠くを見ながら書いていたのは、詩ではなく、部員としての日記らしい。監督に提出するのだろう。
監督はこわい人なのだろうか。
日記を提出しないと、レギュラーから外すと脅すのかもしれない。

 しかし考えてみると、日記も詩と同じかもしれない。
ありのままを記録するだけでなく、心に残った感動を記すのだ。
その積み重ねが、プレーを向上させ、チームを強くする。
彼らは詩人ではないが、感動を書き続けるアスリートである。
私は、真黒に日焼けした少年たちにエールを送った。

〈これからも、日記を書き続けて、監督の脅しに負けないでレギュラーを守ってほしい。そして、地区予選ではぜひ大活躍して皆を喜ばせてほしい〉