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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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続 金曜の夜、人間は二つに分かれる

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通勤電車に詩人がいる



 朝の通勤電車で、いつもノートに何かを書きつけている詰襟の学生がいた。
ドアに背を持たせて、遠くを見ながら、考え考えボールペンで書いている。
日焼けしたニキビ面ではあったが、純真そうなつぶらな瞳は、タダものでない。
〈この少年、何者だろう?〉と興味をもった。

〈詩人を目指しているのだろうか。
お父さんはもしかすると農家かもしれない。
あの顔つきから見ると、詩人にしておくのは惜しい。畑仕事を手伝っているのだろう。
(どこかで聞いたことがあるが)『詩人と農夫』という可能性もある。
父の後を継いで農家をやるのだろうか? 
それとも都会に出て会社勤めのかたわら農業も営むのだろうか。
それには詩作と農業の両方に理解をもった伴侶が必要だ。
彼にはもういい人がいるのだろうか。まだなら、早く見つけなければならない〉などと思った。