Shred
弓削はスーツの袖で血を拭った。ワンがその隙を突いて繰り出したナイフを、傾けたグロック36の側面で跳ね返して腕を掴み、逆方向にねじり上げた。手から離れたナイフをするりと受け取ると、弓削はワンの左頬にナイフを突き刺した。刃が頬と舌の一部を切り裂き、弓削はナイフから手を離してワンを突き飛ばした。
「なんなんだよ、お前まで。初対面で刺すか普通?」
床に落ちたグロック36を拾い上げると、ワンの頭に銃口を突き付けて、弓削は言った。
「おれは初対面でもフツーに撃つからさ、気をつけて話せよな。日本語が通じねー振りしやがったら、その時点で殺す。分かったな?」