故郷へ帰った (二)
猫との関係
病院の敷地に何匹か猫がいる。
野良猫に違いないが、みな健康そうだ。誰かが餌をやっているのだろう。
野良猫は黒や白やトラなどだ。
野良猫に会うたび、家の猫を思い出す。
〈今ごろどうしているだろう。元気でいるだろうか。〉
家の猫も、もとは野良猫だ。
自転車にひかれて、後肢を骨折している。
中にピンが入っているので、循環障害を起こしているのだろう。その脚は異常に細い。
階段を下りる時は、悪い脚をかばって、三本脚で滑走している。
来た当初は表情が暗かったが、徐々に明るくなり、今では私を励ますようになった。
作品名:故郷へ帰った (二) 作家名:ヤブ田玄白