故郷へ帰った (一)
今日のメニューは、「チャンチャン焼き」「山菜おろし」「バナナ」だった。
〈チャンチャン焼きとは何だろう?〉
聞きなれない名前に、私は興味をそそられた。
見ると、白味噌をまぶしたシャケに、椎茸やキャベツが乗っている。
どうしてこれが「チャンチャン」なのか? 私はさっそく調査を開始した。
「チャンチャン焼き」とは、北海道の漁師町の名物料理で、鮭などの魚と野菜を鉄板で焼いたものだという。
しかし、「チャンチャン」の語源は不明で、
「お父ちゃんが焼いて調理するため」という説が有力だが、
「仕事中の漁師が、親方の目を盗んで、浜でスコップで鮭を焼いて食べた時に、チャンチャンコで身を隠していたため」という、誰も信じないような説もあった。
「チャンチャン焼き」の味は、期待したほどではなかった。
名前ほどのインパクトはない。
山菜おろしも平凡だった。「六甲おろし」に比べると、感動は少ない。
デザートのバナナも、東京バナナや吉本ばななほどではない。
全体的な評価は、中の下だろうか。期待が大きかっただけに、落胆も激しかった。
「検食」が終わり、主な業務は終了したが、巡回のとき、ちょっとした事件があった。
作品名:故郷へ帰った (一) 作家名:ヤブ田玄白