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新しい出会い

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女性 その1


今年になって、夏辺りから新しい出会いがいくつかあった。
出会いはひょんなきっかけで始まることがある。

今回の相手は、若い年代にありうる出会いとは大いなる違いがあるが、それにしても縁があったには違いない。

彼女は三年間のブランクがあった旧友だ。それまで20数年とても仲良く付き合っていたのが、気持ちのすれ違いというか、お互いの我の張り合いからぷっつんと切れてしまっていた。

狭い街なのに三年間に一度も出会ったことがないというのもふしぎだが、消息がわからないというのも亦気になることで、彼女が夫と毎朝遠くまで散歩をしているという噂を聞き、私が電話したことから始まった。

彼女はぷっつんのいきさつを繰り返し繰り返し話して怒っていたが、私はその文句を聴きながら、自分なりの理由は告げずただ謝った。三度目に彼女はまだいぶり続けている鬱憤を話し始めたが、私はこれまで学んだ問題児への対応の言葉を思いついて謝った。

相手がどうしても許せないと思っているのだから、それに対抗した話し方ではだめだと思ったからだ。

彼女の怒りを私が受け取ったよ、というラポートという応答。
「あなたはとても怒っている。そのことを私は了解しました。そのことを謝ります」という趣旨の対応だ。

長々とは伝えたわけではなく、
「そんなに傷つけていたのね、本当にごめんなさい」
ごめんなさい、を三回繰り返して電話を切った。四度目に電話を掛けたとき彼女の態度は憑き物がとれたように変化していた。自分が如何に怒っているかをこの人は理解している、と感じた現れだ。

それ以後は旦那様に取り次いでもらうのを少し遠慮しながら電話を掛けて短時間話をするようになった。彼女は旦那様と穏やかに過ごし、二人の娘達も再々電話をかけてくれると言い、幸せそうだった。


 
作品名:新しい出会い 作家名:笹峰霧子