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誰がために劇は成る

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あいり「2対1で、ファースト先輩の台本ですね。」

ゆーな「・・・・」

ファースト「お、おお、まじか」

サード「じゃあ、この台本ってファーストの台本だったんですか?」

ファースト「おう」

サード「なんか、前のと全然がうし、どうしたんですか?」

ファースト「あいりちゃんにDVD貸してもらって、それ見ただけだよ」


サード「そ、それだけ?」

ファースト「まああとネットで舞台の動画見たりとか。」

セカンド「てかこれ、この前の俺らのやり取りじゃね?」

ファースト「面白かったから、つい」

ゆーな「・・・」

ファースト「ゆーなちゃん、その・・・ごめん」

ゆーな「え?」

ファースト「書く気もないのに無理やり書かせちゃって。そりゃ1週間じゃ満足に書けないよな」

ゆーな「え、ま、まぁ」

ファースト「ゆーなちゃんの台本も呼んでいい?」

ゆーな「あ、はい。どうぞ」

ファースト「ありがと。」


照明、少し暗く
互いの台本をパラパラ読む


ファースト「やっぱゆーなちゃんが書く台本は面白いな」

ゆーな「どうも」

ファースト「なぁ、この台本とゆーなちゃんの台本、合わせられないかな」

ゆーな「え?」

ファースト「せっかく書いてくれたんだし、お蔵入りするのは勿体ないよ。」

ゆーな「そう・・ですか・・・。」

ファースト「よし、じゃあ俺と一緒に学園祭の台本作ってくれ」

ゆーな「・・・」

セカンド「無茶すぎないか?」

ファースト「そんなことねーよ、むしろこの世界観を取り入れたくらいだし」

サード「まぁ、ファーストが言うなら。」

ファースト「あいりちゃんもそれでいいかな?」

あいり「は、はい、大丈夫です」

ゆーな「納得できません」

ファースト「・・・」

ゆーな「同情されてるみたいで私は嫌です。私の方が面白くなかったんですから、先輩の台本でやればいい
じゃないですか!」

ファースト「でもそれじゃあ、一番面白い台本は作れないよ」

ゆーな「だから私のと合わせて作るって、完全にお情けで言ってるようなもんじゃないですか」

ファースト「そんなことないよ」

ゆーな「じゃあなんですか、後味悪くしたくないためですか?」

ファースト「面白いもの作りたいんだ」

ゆーな「・・・」(ハッとする)

ファースト「みてくれる人に、一番面白いもの見せなきゃ。」

ゆーな「・・・」

ファースト「だからさ、一緒に作ろうよ」

ゆーな「・・・・わかりました」

ファースト「よし、じゃあ」

あいり「あの、ちょっとゆーなちゃんと話したいことがあるので、先輩たちは少し席外してもらっても・・・」

ファースト「ん、ああ、いいよ。ちょっとコンビニ行くか」

セカンド「おう」

サード「はい」


男子3人退場


あいり「ゆーなちゃん」

ゆーな「何のDVD貸したの?」

あいり「て、テイクオフ」

ゆーな「面白いもんね」

あいり「うん」

ゆーな [ファーストの台本を握りしめる]「1週間だけだったとはいえ、私の方がつまんなかったか・・・」

あいり「私はどっちも面白かったよ?」

ゆーな「ありがと」

あいり「・・・」

ゆーな「また忘れてた。お客さんが居てこその私たちだってこと」

あいり「・・・うん」

ゆーな「6年間やってきたけど、見るだけじゃ面白いものは作れないのね」

あいり「そう、だね」

ゆーな「でもやっぱり・・・悔しいわ・・・」

あいり「まだ、大丈夫だよ」

ゆーな [目を拭う]「何が?」

あいり「まだ時間はあるからさ、もっかい書いてみようよ」

ゆーな「もっかい?」

あいり「きっと次はみんなが面白いって言ってくれるものが書けるよ」

ゆーな「そうね。・・・書くよ、もう一度」

あいり「うん」

ゆーな「・・・準備はよろしいですかー!」

あいり「お願いしまーす!」


BGM 「HAE」LOSALIOS

男子三人で舞台に設置してあるものすべて撤去する
セカンドはスーツ姿、ファーストはパジャマ、サードは
舞台中央に5人が集合。サイレントで円陣を組んで気合い注入
ゆーな以外が退場

アナウンサー 軽音サークル「ヘルツ」の演奏、ありがとうございました。続いては、演劇サークル「エチュード」の皆様によります、「誰(た)がために役は成る」を上演いたします

SE:上演ベル
作品名:誰がために劇は成る 作家名:平塚 毅