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トコロテンの日々

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なだれ込んできたトコロテンのように、私は玄関のドアの隙間から、自室に進んだ。
エアコンの設定は18度で【強】。ボタンを押し込む。
電源を入れ、エアコンの送風口が上昇したのを確認し、私は冷蔵庫の中にストックしてあるビール缶を冷凍庫にぶちこんだ。
「準備完了だ」
私は汗で張り付いたシャツを乱暴に脱ぎ捨て、途中でシャツのボタンが弾けとんでも気にしない。激烈なスピードで裸になった私は、浴室に突撃する。
シャワーの水圧をマックスパワーに操作し、今日1日分の汗を頭から乱暴に流す。
メントールが配合されたシャンプーとボディソープをふんだんに使用し、ワタクシの体をワシワシモリモリ洗っていく。
頭皮や皮膚が「もう止めてくんさい」と、言わんばかりに、強烈なワシワシモリモリ攻撃を続けると、毛穴にメントールの成分が刷り込まれ「暑いのか寒いのか、もうよくわかりまへん」と、いう具合になったら、全身をシャワーで洗い流す。
泡に包まれた今日1日分の汗が、排水溝に流れていくのを見ていると、なんだかよくわからないけれども、「本日もやってやったぜ」と言いたくなった。
私は浴室を後にして、バスタオルで全身をふく。
「急げ、急げ、もう少しだかんな…」
あらかた水滴をバスタオルでふきとると、いざ極寒の18度の世界へ。
「あはははははは」
私は冷気の中、全身にシアワセを実感させ、すかさず全裸のまま、18度の世界で、極冷缶ビールを飲み干す。
「うひゃ~みゃあ~」
全身に刷り込まれたメントール成分に冷気。
それに食道をカキムシル極冷ビール。
3口で350ミリを飲みきる。
日中の灼熱地獄から解放された私は、トコロテンから人の姿を戻ることに成功した。
ある程度、冷気をまとい、満足した私はパンツをはいて、Tシャツを着る。
18度のままだと寒いので、室温は若干上げ、いよいよ本腰を入れてリラックスタイムを満喫することにした。
「さて今宵は何をして過ごすかな…」
夜間になったとは言えど、自宅の外は熱風が吹いている。
私はベッドに上に倒れこみ、この後のゴールデンコースは何が良いか、決めることにした。

夜ご飯はやはり素麺にしよう。

確か、まだ3倍濃縮のメンツユもあった。

氷もあるから、出汁もキンキンにできる。

食後はお新香と鯖の味噌煮缶で冷酒を飲もう。

録画してあった海外ドラマの続きも気になるし…

今宵はいろいろすることがあるな…

それと、あと、なんかあった気がする。

えーと、あれ?なんだっけ?
えーと、あれ、なんだ…
なんか楽しみにしていた気がする…
えー
あれなんだ…

なんだ…えーっと…確か…そういえば…


翌朝。

風呂上がりに寝落ちした私は、出勤時間に目を覚ました。
「うわ!うそ!最悪。もうこんな時間!」
私は大急ぎで、出勤準備を整え、玄関で靴を履く。
「あっ、そうだ!思い出した!冷凍庫にアイスを買ってあったんだ!」

昨晩、私はとてつもなく楽しみにしていたアイスを忘れていた。
後ろ髪を引かれる思いだ…

「うわーん、やだよ~」

ドアの外は灼熱地獄。

しかし私は出勤時刻に背中を押され、トコロテンのようにニュルリとドアの隙間から外に放たれた。
作品名:トコロテンの日々 作家名:igu