小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

続・嘘つきな僕ら

INDEX|6ページ/43ページ|

次のページ前のページ
 





それから、僕と雄一は、休みが合う度に僕の部屋で会うようになった。

外に出ようかとも思ったけど、外じゃ出来ない事ばかりがしたくて、恥ずかしい純粋さを持ち寄って、いつまでも抱き合っていた。

“多分、こんなのが毎日になったら、死んじゃう”

嬉しくて仕方ないから、僕はたまに泣いた。そうすると雄一は優しく髪を撫でてくれた。

“今死んじゃっても、僕、幸せだろうな…”

思い詰めるほど想い合って、僕たちは小さな日々を分け合った。




「相田さん、最近何か良いことでもあったんですか?」

ある日、仕事に出てデスクに就いた時、隣の谷口さんがそう聞いてきた。

その前の晩、僕は雄一を家に泊めていた。彼は「今日も休みだし」と言って、僕の家で待っていてくれている。もしかしたら、それが顔に出ていたのかもしれない。

「あ、えっと…別に…普通ですよ」

そう言ってごまかそうとしたのに、女の人とはなんと恐ろしいものか。

「あ!その顔は〜。さては…彼女ができましたね?」

にまにま笑って僕を指さす谷口さんは、どうやら僕の事は諦めてくれたみたいだけど、今度は旧知の仲としてからかうようになったらしい。

「いや、そんなんじゃないですよ」

「ふふふ。みんなそう言うんですよ。こういう時には」

「ま、まいったなぁ」

根負けした振りで僕がPCの電源を入れようとした時、急にスマートフォンが着信メロディーを鳴らす。それは雄一が好きなロックの曲だった。

“タイムリー過ぎるよ、雄一!”

僕が焦ってスマートフォンを見ると、画面にはやっぱり「雄一」と出ていて、谷口さんはそれを隣から覗き込んでいた。

「なんだ、彼女かと思った」

「え、えへへ…友だちが、今日家に来てたんで…何かあったのかな?」

「ふーん」

谷口さんは、手元にあったパックから抹茶ラテを啜り、デスクに向き直る。

“そっか。僕たちって…こういう関係なんだ…”

彼の事を、恋人として誰にも紹介出来ないのは、ちょっと寂しかったけど、その時はまだ辛くなかった。

僕はその日も真面目に仕事をして、雄一の待つ家に帰った。




作品名:続・嘘つきな僕ら 作家名:桐生甘太郎