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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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続・嘘つきな僕ら

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6話「君のもの」






「合コン…ですか?」

それは、5月のある月曜日の事だった。

「うん!相田さんも来てよ。人数足りてないからさ」

僕は、会社の人事課の「野田さん」から、合コンに誘われた。それは、課長や他の事務員が、昼食を買いに出ている時だった。


野田さんは僕より二期上で、僕は下っ端だから、他の部署によく書類の判をもらいに行く。だから、野田さんとも顔見知りくらいにはなっていた。

野田さん曰く、「大学の同窓生との話の流れで決まった合コン」で、「まずは交友目的くらいから始まる」らしいので、気軽に参加してもらって構わないとの事だった。

「ああ〜。でも、可愛い子いたら絶対狙っちゃうよなあ…」

そう言って、今から照れているような顔をした野田さんは、僕を見てにまにまっと笑った。

「ってことで、相田さんも参加ね」

僕はどう断ろうか考えていた途中だったのに、野田さんはそのまま行きかけてしまう。

「え、ちょ、ちょっと待って下さいよ!僕、まだ行くなんて…」

そう引き止めると、野田さんは事務室出口に向かったまま、こう言い残していった。

「いつまでもそんなに内気じゃ、彼女できないぞ!とにかく今週末だから、空けといてね!」

「ちょっと、野田さん!」

僕は、自分のデスクから立ち上がったままの姿勢で取り残され、週末の予定が決まってしまった。

でも、野田さんはいつも僕に励ましの言葉をくれる人で、部署は違えど、世話になっている先輩とも言える。そんな人からの誘いを、元々断れるはずもない。

それに、「お付き合いしている人が居て」という理由も、僕はまだ口に出せなかった。

“雄一に、なんて言おう…”

そう思って悩んだまま、その日は仕事をした。



作品名:続・嘘つきな僕ら 作家名:桐生甘太郎