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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
novelistID. 69613
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悠々日和キャンピングカーの旅:②朝霧高原と富士五湖

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「車窓風景」の4文字は私を旅にいざなう魔法の言葉だ。

 キャンピングカーに乗って自宅を出てから暫くは、いつも見る風景だが、それがいつの間にか、知らない風景へと変わってゆく。その時、改めて“旅に出発した”ことを全身で認識してしまう。それはいつものことなのだが、車窓風景の変化で気分が高揚し、“わくわく”してしまうことが面白い。
 ところで、車窓風景は国語辞典には載っていないようだが、私の解釈は、列車やクルマの窓から見える風景で、特に旅先での風景に対して多く使われ、どちらかと言えば、受動的に巡り合う景色のようなニュアンスを感じる。
 この「キャンピングカーの旅」を始めて以来、時間に余裕が生まれたせいなのだろう、これまでより更に良い風景を見たい気持ちが強くなり、あと少し走れば、ナビが案内する道ではない道の方が、雨が降っているならば少し待った方が、通り過ぎた今の場所を反対方向から見た方が、新たな風景や美しい風景に出会うのではないかと、能動的な行動で自ら得られる最適解を求めるようになった。

 「車窓風景」について、少しノスタルジーを感じる夏の日の想い出になってしまうが、幼少の、まだSLが走っていた頃のこと。母の故郷へ家族でよく遊びに行った時、乗るのはいつも蒸気機関車のC57が牽引する客車だった。当時はまだ冷房車がない時代で、客車の通路の真上で幾つかの扇風機が回ってはいたが十分でなく、多くの客は窓を開けていた。今思うと、窓から見えた薄黒い煙が時々混じる風景こそが「車窓風景」で、強烈に記憶している。話には続きがあり、時々、機関車の煙の中に含まれる小さな石炭の粉が目に入り、父親にハンカチで取ってもらった。これらはセットの想い出だ。

 「キャンピングカーの旅」で、目の前に広がる風景に心が動くような場合は、「車窓風景」ではなく、「車窓情景」と書き換えても良いと思っている。紀行文の中で、この二つの表現を使い分けてみよう。