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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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一度、姓名判断してもらいたい

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 6時ごろ、コンビニで買った弁当を食べ終わると、8時ごろ、看護師長と病棟を巡視した。
病棟ごとに主任看護師から、患者さんの入れ替わり、重症者の報告を受ける。
しばらく病棟に行かないうちに、看護師さんが皆若くなったと思ったが、私の勘違いだった。私が年取っただけだ。
報告を受けて、「ご苦労様」などと声をかけるのが「院長」の仕事だ。
1時間ほど回って病院全体のことを把握したような気分になった。

 巡視が終わると、自室に戻ってやり残した仕事をする。
仕事はいつもやり残しているので、こういう時は退屈しないでいい。
「夜間院長」としての重要任務は、院内のもめごと、主に患者さんからのクレームの処理、警察沙汰の対処である。
これにぶつかる医者は運が悪い。
他の医者に比べたら、日頃の心がけはよいほうだが、運には恵まれないタチである。いつも思いがけないトラブルに巻き込まれる傾向がある。
トラブルがあることを予想して、捨て身で構えた。
初めてのことは、何事も不安なものだ。新婚初夜とは違う。

 当直室はベッド一つがあるだけで、独房よりマシな程度だ。
誰かが遊びに来てくれても、何のおもてなしも出来ないと思う。
十時を過ぎた。
いつもなら、ワインを飲みながら、「寅さん」などを鑑賞するところだが、それはできない。
寝るには早い時間だが、ベッドに横になった。