悠々日和キャンピングカーの旅:プロローグ(前半)
■趣味の棚卸し:就職してからセカンドライフの今
就職してからは、大型バイクを買ったこともあり、ツーリングが趣味だった。同期の仲間とのツーリングが楽しく、いわゆる「走り」を楽しみ、磨きを掛けていた。
結婚した後は妻とのタンデムツーリングによく出掛けていたが、子供が生まれてからは、バイクから少し距離を置いた。
子供たちがまだ幼い頃は「ファミリーキャンプ」が趣味だった。ひと夏に3回も行ったことがある。その時の面白い体験は、子供たちと一緒に川で遊んだことだ。山間の清流に、浮輪を付けた子供たちと一緒に飛び込み、流れに身を任せて川を下り、10分ほど下ったあたりの浅瀬で川下りは終わるのだが、子供たちにねだられ、何回も繰り返したものだ。
子供が親より友達との時間を選ぶようになってからは、趣味は再びバイクに戻り、数日に渡るような「キャンプツーリング」が始まった。
それと並行して、勤務先の漕艇部に席を置き、5人が乗艇するボートを漕いでいた。仕事が始まる前に1時間の練習を週2回、土曜日は2時間の練習で、3年ほど真剣に取り組んだが、残念ながら、その戦歴はまずまずだった。
漕艇部は社員向けに「社内レガッタ」を毎年秋に開催している。ボートの経験の有無は問わず、ワンチーム5人で参加でき、多い時は60チームを超す参加があった。そもそも4人で合わせて漕ぐことは難しく、水上スポーツの安全のためにも、的確な動作が必要になるため、参加チームは少なくとも2時間の練習を必須としている。部員全員で参加者に漕ぎ方を教え、レガッタ大会全体を運営している。このところ、社外にも開かれた大会の一面もあり、関連会社、部品メーカー、近隣の大学、更には同業他社にも声を掛け、湖上でのレースを展開している。セカンドライフの今でも、社内レガッタの大会運営に協力している。
漕艇部で水に親しくなったことで、「カヌーの川下り」を始めてしまった。山間の川の上流で、蛇行する度に出会う別の景色の中を下るカヌーならではの「旅」を楽しんだ。その頃、カヌーイストの野田知佑さんの川下りの旅がメディアに登場し、それに憧れた面もあったのだろう。しかし、私の未熟なスキルのせいもあるのだが、水の怖さを知ったことで、残念ながら、次第に足が遠のいてしまった。
今までのバイクやカヌーの趣味と入れ替わるように、この10年間はパラモーターでの「空の散歩」に夢中になっている。水から空への180度の変わり様だが、地上1mから高度1000mまでの素晴らしい3Dの世界を堪能している。現役時代は、雨が降っていない土日の、風のコンディションの良い日のみのフライトに限られたが、セカンドライフの今、土日に限らずフライトできそうな日はちょっと出掛けて、「空の散歩」を楽しんでいる。
加えて、上空から見下ろす景色や見渡す遠くの景色をデジカメに納め、空撮写真展をこれまでに数回開催し、新聞にも取り上げられた。更に、ネットにホームページを開設し、豊富な写真や情報を掲載し、掲示板も設け、多くのフライヤーがアクセスしてくれている。更に、2ヶ月毎に発刊される「パラワールド」誌への投稿を重ね、度々掲載された。空に、ネットに、雑誌に、この趣味の幅が広がっている。
このパラモーターを始めるきっかけになったのは、タンデムフライトの体験の素晴らしさだった。
勤務先では仕事とは別に、技術会の会報誌の編集委員をやっていた。ちょうど、学校の部活動のようなものだ。この会報誌は、各編集委員にとって興味がある対象で、且つ会員に伝えたい対象を取材して記事を書き、それらをまとめた40ページほどの、半年毎に発行する雑誌だ。
この活動の中で、以前から少し興味があったパラモーターを取材対象にした。先ずは日本パラモーター協会を取材し、次に、静岡県の遠州灘のパラモーターサークルで、実機を見ながらの取材とタンデムフライトの体験をさせて頂いた。それは、いとも簡単にテイクオフし、地上100mまで上昇、数分間飛んだ時、一気にその世界に魅了されてしまった。パラモーターの記事が掲載された会報誌をそのサークルに贈呈する際に、サークルに入会してしまった。なお、会報誌向けに書いた記事は20数本、その全てに思い出がある。
そして、パラモーターに加え、キャンピングカーのオーナーになってからは、「キャンピングカーの旅」に予想以上に、のめり込んでしまった。
そして「キャンピングカーの旅」のみならず、ロードマップ上で走った道をなぞる楽しみを発見した。旅を思い出しながらなぞるのは心地良い。もう一度、旅をしているような感覚だ。旅の回数が増えるにつれ、ロードマップの中になぞった道が増えて行くのも嬉しい。それは旅の軌跡であり、セカンドライフの部分的な軌跡でもある。それならばいっその事、撮った写真も使った紀行文にまとめてみようと、「紀行文の執筆」も趣味のひとつになった。
その紀行文を月刊オートキャンパーに投稿したところ、二つの紀行文が掲載され、それ以外にも、同誌が主催のリモート座談会に出席し、キャンピングカーと温泉のテーマで経験談を紹介させて頂いた。更に同誌には、読者の声が掲載されるコーナーがあり、そこに投稿した記事が2回ほど掲載された。今、「キャンピングカーの旅」が終わった後の執筆活動も楽しい。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:プロローグ(前半) 作家名:静岡のとみちゃん