第五話 くらしの中で
その3
悲しみのとぎれとぎれの間にはうれしいこともあるものだ。
ネットを始めていたので、SNSの友達とメールや電話で話したり、子供が結婚したり、我が家に友達が集まって色々なグループ会をしたりした。中学生の時から登校拒否をしていた娘が都会の大学へ入学もできた。
人生はもう大丈夫と思っているときに突然落とし穴に落ちる。
だが、二度も三度も落ちては這い上がり何とか命だけは繋げていくのだ。
その度に何かを掴み、精神は大人になって行く。
我慢することを知らなかった自分が、相手の怒りを真綿のように受け止め宥める術を知る。そして穏やかで何事にもぶれない不動の人格を築くことができるのだ。
神様は痛い目にばかりあわすことは絶対にない。
今までにはなかった知恵と忍耐が与えられる。
神々しい光によって下されたご褒美である。
つづく
作品名:第五話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子