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第五話 くらしの中で

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それぞれの生き方 その1


私は片田舎の小さな町に住んでいるのでバーチャル以外の付き合いは少なく、それもコロナ禍に入ってからは会う人といえば買物や病院ですれ違う見知らぬ人だけだ。
たまに知り合いと電話で話すが、彼女らはパソコンをしていないので、テレビや新聞で世の中の情報を知り、それ以外は親族と話すくらいだという。私とたまに会食して話す友人はその機会をとても楽しみにしていてくれる。
少しずつ何らかの理由で減っていく友人達であるが、今も付き合える貴重な友人には二人か三人子供がいて、中年になった彼らがしっかり親のことを気遣ってくれるそうだ。
一人暮らしでも何かあれば子供らが駆けつけてくれるのだから不安はないはずだ。でも彼女らはいつも言う。「子供には迷惑をかけたくないから何もできなくなったら介護施設に行く」と。
彼女らは介護施設の実態を知らないからその場所を桃源郷のように思い描いて夢を見ている。

私は痴呆になったピアノ教師やグループ会にいた時の先輩が施設に入ってから何度か慰問したことがあるので介護施設の入居者の実態はおおよそ見当がつく。だから施設には入りたくないなと思ってしまう。

作品名:第五話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子