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田中よしみ
田中よしみ
novelistID. 69379
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ウラバンナ(青春紀ー2)

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このホテルを出れば、柊は九州に、私は海外に赴任することが決まっていた。だからこそ、今宵だけでも一緒になれる未来を仮想して名残りを惜しんでいたのである……。
ブラのフックを外して乳房を露わすると、柊の体は緊張で固くなった。
「こういうこと初めてなの。優しくして……」
まるで処女のように強い恥じらいをみせたが、先ほどから凡そ人妻には相応しくない挙動だった。
「えっ? 結婚しているのに?」
私にはその言葉が直ぐには信じられなかった。
「何も言わないで……、このまま私を抱いて……」
スカートの中に手を這わせると、太腿を固く閉じていたが、そこは十分に潤っていた。彼女の長い脚を割って体を重ねると、覚悟を決めたように抗いを止めた。豊かな乳房を揉みながら突起を刺激すると悩ましい喘ぎ声をもらした。
柊の十分に潤った花芯に私の熱情を挿しこんだ。
「い、痛い」
私が柊の体を貫いた時に、私の背中に爪を立てて破瓜の痛みに耐えていた。
「えっ? 初めてだったの……」
純潔の印がバスタオルに付着しているのを見て唖然としていた。
「す、すみません……」
私にはこれ以上の言葉が見当たらなかった。
「これで一人前の女になったのね……」
私は燃え滾る熱情に翻弄されて限界に達していた。私の体に絡めた柊の手足が硬直したのか、逆に腰をしっかり密着させてきた。私は不覚にも柊の奥深くに射精していた。
「ごめん、我慢できずに中に出したけど……」
秋津柊の純潔を散らした私は不思議な感動と満足感に包まれていた。
「今日は安全日だから心配しないで。わたし、長年の重荷を下ろして幸せよ……」
柊は切り裂くような痛みの中で、女の幸せを短く口にしていた……。
「横浜で再会してから、あなたが直ぐに東京に転勤したでしょう。それからは毎日が虚しくなって、その時に初めて自分の本心に気付いたの……」
柊はヘーゼルの瞳に涙を浮かべながら私の胸に顔を埋めていた。
「吉川は糖尿病からEDを発症していたので、結婚しても寝室は別々だったの。
だから、今日のことはあまり責任を感じないで……念願が叶って嬉しかったわ」
彼女は男の迸りを受ける瞬間に密かに願掛けしていた。柊は偽装結婚のことも彼には黙ったまま、北九州の姉の元で再出発することを決心していた。
 
 私は既に台湾事務所への赴任が決まっており、それを機に今度こそ柊との関係を清算するつもりでいた。
外は相変わらずの雪嵐だったが、二人は抱き合って深い眠りに落ちていた。翌朝、私が目を覚ますと昨夜の雪嵐が嘘のように東京の街には春の陽が射していた。柊のベッドは昨夜何もなかったように綺麗に片付けられており、テーブルの上に一枚のメモが残されていた。
  
矢納孝夫様
 あなたから、希望の光を頂きました……。
 これからはアクアマリンと朝顔と一緒に生きていきます。
 あなたはあなたのままで、変わらずにいてください。
 決して私を捜さないで……。              秋津 柊

それを最後に二十七年間、秋津柊から一切の音信が途絶えていた。
私はその年の四月の人事異動で台湾事務所に赴任して、新しい人生を歩き始めた。