「珍獣姉妹」なのか
「だって、お前の孫もう中学になったんじゃないのか。それでもまだ騒がしいのか?」
「そうなんだ。小さい時からいとこ同士っていうのは、兄弟みたいなもんなんだよ。仲が良すぎてつい喧嘩したり大騒ぎしたりするんだ」
「へえ、中学生になってねえ。一番下はいくつなんだ?」
「4年生だよ。これが、上に負けずにきかない子でね。」
「つまり負けず嫌いなんだな。いいじゃないか。頼もしいよ」
「お前は人の家のことだと思っていい加減なこと言うけど、その喧騒のすさまじさと言ったら凄いんだから」
〈そうか、うるさくて家には居られなくなったっていうわけだな。自分の家なのに、気の毒な奴だ〉
「お前。家の中で一番偉いんだから、あまりうるさかったら注意してやればいいじゃないか」
「そうなんだけど、俺が我慢すればすむかなあと。」
Sは昔と変わらず、自分をはっきり主張出来ない弱さを引きずっているようだ。
あの気弱さで、院長になり損なったのだ。あのころとちっとも変っていない。
私たちは外に出て夜道を歩きだした。その焼き鳥屋に向かう道々で大体の事情が分かった。