星に願いを:長門 甲斐編
再会
「契約」を望む「人間」に接触する以上
避けられない「存在」がある
避けなければならない「存在」がある
其れでもお目にかかる事は今の今迄、ない
故に覚悟はするも心中、「他人事(ひとごと)」なのは否めない
「「覚悟」はしていたが」
一瞬、青鈍(あおにび)色の眼を見張る
上総が如何にか感情を抑えた声で吐き捨てた
「御前に会う「覚悟」はしていなかった」
案の定、「間合い」零(ゼロ)で対峙する「人物」の、黒緑色の眼が
瞬きと同時に鮮やかな深緋色の眼に変わる
寝台(ベッド)から窺(うかが)う和泉も其の様(さま)に眼を丸くした
彼(あ)の直後
天井から下がる電灯が点滅する事なく、消えた直後
和泉は思い掛けず放した手を長門に出すが間に合わず
上総は和泉の伸ばした腕を掴み、引き寄せるも明らかに手遅れだ
確信はない
確信はないが「然(そ)うは問屋が卸さない」と、言い聞かす暗闇の中
間も無く、灯りを照らす電灯の下
久方振りに再会する「死神」が満面の笑みを浮かべていた
「乱射乱撃雨霰、否(いや)違う」
「感謝感激雨霰」
向かい合う「死神」が合言葉のように宣(のたま)うも
「ぁあん?」
今回、噛み付く勢いで聞き返したのは「和泉」だった
作品名:星に願いを:長門 甲斐編 作家名:七星瓢虫